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「鬼ごっこのようにひたすら逃げて…」世界陸上女子マラソンで7位入賞…“サークル出身”24歳の新星・小林香菜が明かした「スタートダッシュの真相」
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2025/09/25 11:10
初出場の世界陸上女子マラソンで7位に入賞した小林香菜。レース直後は先頭を引っ張る積極性も見せたが、その戦略の中身は…?
その2日前のことだ。
レース前のオンライン会見に臨んだ小林の表情は、レース後のそれとは全くの別人のようだった。
「ナショナルトレーニングセンター(NTC)に来てから周りの方々を見て、とても緊張してしまっている」
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「正直、楽しみはあまり持てないですね。ちょっと怖いというか、どちらかというと、早く終わってほしいような思いです」
そう話す小林の表情は強張っていて、大舞台を前に画面越しでも過度に緊張しているのが伝わってきた。
「やっぱりプレッシャーは想像した以上に大きかったです。NTCでお会いした田中希実選手や廣中璃梨佳選手は、そういう舞台を何度も経験されていて、本当にジャパンのユニフォームが似合っているなと。自分はまだまだ着られている感があるなと感じました」
後日、その時の心境をこのように明かしている。
「良い意味で雰囲気に飲まれた」レース前
一方で、レース当日を迎え、スタートラインに立った時には2日前とは別人のようだった。
「朝起きたら、その日はさすがに集中していました。良い意味で雰囲気に飲まれたというか……そういうふうに感じています」
そして号砲が鳴ると小林はいきなり見せ場を作る。
スタート直後は先頭集団の後方に位置取っていたが、競技場から公道に出てすぐに先頭に躍り出たのだ。
「(河野匡)監督からは『海外勢は牽制してくるから、下手に同じペースで行って給水とかで足が絡まったりするよりも、自分のペースで行ったほうがいい』と言われていました。でも、1人で行くのも、それはそれで疲れるので、最初から出ようと決めてはいませんでした。選択肢の1つ……ぐらいに考えていましたね」

