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「集団の2人か3人を抜けば…」“大学時代は官僚志望”の24歳が世界陸上マラソンで大躍進…小林香菜が振り返る「7位入賞」サバイバルレースの全内幕
posted2025/09/25 11:11
酷暑のコンディションの中行われた女子マラソンで一度は入賞圏外まで弾き出されたが、持ち前の粘りで最後は7位まで順位を上げた小林香菜
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Kiichi Matsumoto
大きな盛り上がりを見せた東京世界陸上。なかでも話題となった競技のひとつが、女子マラソンだ。7位入賞の好走を見せたのが小林香菜(大塚製薬)。大学時代は体育会ではなくマラソンサークル所属で、もともとは官僚志望だったという異色の経歴の選手だ。そんな彼女が挑んだ世界の初舞台は果たしてどんなものだったのだろうか。《NumberWebインタビュー全3回の2回目/つづきを読む》
酷暑の中で行われていた東京世界陸上の女子マラソン。レースが大きく動いたのは、8km付近でのことだった。
スザンナ・サリバンとジェシカ・マクレインのアメリカ勢が、17人いた先頭集団を飛び出したのだ。
「もともと1位は全然狙っていなかったので“あっ、行ったな”という感じで。“自分は自分”と思って走りました」
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先頭集団にいた小林香菜(大塚製薬)は、この飛び出しをそんな風に振り返る。10kmを前に小林は単独で3位に浮上したが、これも決して無理をして2人を追ったわけではなかった。
レース前は「入賞できる自信はなかった」
もっとも、レース前はメダルどころか入賞さえも遠いものだと思っていた。
「8位に入れればいいなとは思いつつ、“絶対に入る”と思える自信は正直なかったです」
河野匡監督が課すメニューは100%こなした。だが、それでもなお入賞できる確証はつかめていなかった。前々日会見でも、目標を問われて「具体的な目標は自分の中では上げられない」と話していた。
ところが、上位でレースを進めるうちに入賞が脳裏にちらつくようになっていく。

