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甲子園の風BACK NUMBER
日本ハムスカウトが絶賛「やっぱり末吉君ですよ」末吉良丞にMLB関係者もビックリ「まるでプロ野球」高校日本代表“現地沖縄で聞いた”スカウトの本音
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2025/09/23 11:52
チーム唯一の2年生として高校日本代表に参加した末吉良丞。来年のドラフトに向けて、すでに各球団スカウトが注目する存在だ
「愛称はみちお」「LINEグループ名は末吉JAPAN」
4回を投げて被安打4、2四死球、3奪三振で2失点。試合後、末吉は囲み取材でこうコメントしている。
「初めての国際大会ということで少し緊張したせいか、制球がバラついているなかでしっかり抑えきれたのはよかったと思います」
試合当日の朝、ホテルの部屋で五厘刈りにし、気合を入れてマウンドに上がった末吉だったが、国際試合の雰囲気に飲まれ緊張したようだ。それでも手応えはしっかり感じ取っていた。
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末吉はチーム内で唯一の2年生ということもあり、同部屋の坂本慎太郎(関東第一)からは「敬語じゃなくていいよ」と気を遣われながらも、試合中のバット引きを献身的にやっていた。トム・ブラウンのみちおに似ていることから「みちお」と呼ばれてイジられ、チームのLINEグループ名を「末吉JAPAN」と命名されるなど、3年生たちから可愛がられていたようだ。
全国トップクラスの3年生たちが優しく接してくれることをありがたく思いながらも、先輩たちの意識の高さに驚きを感じずにはいられなかった。
「(奥村)頼人さんには、『後ろを大きくして、しなりを使って投げると8割の力でも球が行くから』とフォームについてアドバイスを受けたり、真っ直ぐがあまり指にかかってないなかで握りを教えてもらったり、いろいろと助けてもらいました」
昨夏の甲子園優勝投手であるサウスポーの西村一毅(京都国際)からチェンジアップを教えてもらい、また石垣元気(健大高崎)との50メートル以上のキャッチボールでは顔の高さのまま球が伸びてくることに度肝を抜かれた。
初戦は不安を抱かせた日本代表だったが、試合をするごとに投打が噛み合うようになり5連勝でオープニングラウンドを1位通過。スーパーラウンドの第1戦は優勝候補のアメリカとの対戦だった。勝てば決勝進出の可能性が大きく高まる試合で、ふたたび末吉が先発する。この大一番で先発を任されること自体、日本代表のエースの証だ。
重圧を受けながらアメリカ戦のマウンドに上がった末吉は、快刀乱麻のピッチングを見せつける。初回、先頭打者をフォアボールで出し、犠打の後にまたフォアボールで1死一、二塁。制球が定まらないなか、後続を三振とライトフライに仕留めて窮地を脱する。2回以降は、伸びのある真っ直ぐを軸にスライダーとカーブを織り交ぜ、5回1死まで5奪三振。アメリカの強力打線を無安打無失点に抑え、68球でマウンドを降りた。

