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甲子園の風BACK NUMBER
日本ハムスカウトが絶賛「やっぱり末吉君ですよ」末吉良丞にMLB関係者もビックリ「まるでプロ野球」高校日本代表“現地沖縄で聞いた”スカウトの本音
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byTakarin Matsunaga
posted2025/09/23 11:52
チーム唯一の2年生として高校日本代表に参加した末吉良丞。来年のドラフトに向けて、すでに各球団スカウトが注目する存在だ
高くなかった下馬評「前回大会と比べると…」
今回の日本代表は、甲子園優勝、準優勝の2チームからは末吉のみ、ベスト8の横浜から4名選出というやや歪な選考基準によって構成されていた。絶対的エースの前田悠伍(現ソフトバンク)、打撃陣は寺地隆成(現ロッテ)、緒方漣(国学院大学)らを擁して優勝を果たした前回大会のチームと比べると、下馬評は決して高くなかった。
とはいえ、世界大会だけあってスタンドにはNPBやMLBをはじめ、韓国や台湾など各国のスカウトが押し寄せ、スピードガンを片手にまだ見ぬ金の卵の発掘に余念がなかった。
連覇をかけて日本代表は初戦のイタリア戦に臨む。開幕日の5日は、沖縄では旧盆の真っ只中。信仰文化として「先祖崇拝」が息づく沖縄において旧盆の3日間(ウンケー、ナカビ、ウークイ)はご先祖様をお迎えして供養する重要な行事のため、一部の会社や商店、公立の小中学校が休みとなる。本州で言えば正月みたいなものだ。ナカビのため客の入りが心配されたが、旧盆独特のゆったりとした空気が流れる沖縄セルラースタジアム那覇のスタンドは指笛を鳴らしたり、トランペットの演奏に合わせて子どもたちがメガホンを叩いて声援を送ったりと、日本代表を応援する人たちで溢れた。
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初戦ということもあってか硬さがもろに出た日本代表は拙攻が目立ち、なんとか4対1で辛勝。ネット中継の解説を務めた前回監督の馬淵四郎が「練習試合だったら10対0のコールドですよ」とシニカルに発言するほど、日本代表の船出は苦しいものになった。
第2戦の韓国戦では、満を持して末吉が先発した。6日は旧盆で一番大切な、ご先祖さまをお見送りするウークイの日だ。それでも我らのヒーロー末吉を応援するためにご先祖さまには早めにお帰りいただいたのか、球場には大勢の人が押し寄せた。
初回はランナーを出すも無得点。そして2回表、先頭打者に安打を許し、次打者に四球を与えてピンチを招く。犠打で1死二、三塁となったところでワイルドピッチにより失点。さらに一、二塁間を破るタイムリーを浴びて2点目を奪われる。ワイルドピッチはキャッチャー横山悠(山梨学院)のキャッチングミスでもあり、後続は冷静に三振とピッチャーゴロに仕留める。最速145kmのストレートとブレーキの利いたスライダーを緩急使って投げ分け、3回、4回と走者を許すも無失点に抑えた。

