「お前はどうしてそんなに四球に怯えているんだ、って」DeNA藤浪晋太郎が考え悩んだ末にアメリカでつかんだマインド「シンプルに、楽しむこと」 

考え悩んできたからこそたどりついた「シンプルに」

「いろいろ考え、悩んできたからこそ、またアメリカに行った影響も含め物事をシンプルに捉えるのが大事だと思うようになりましたね。元々考えがちな性格なので、何事においても単純化、抽象化できるように。

　あとはやっぱり楽しむこと。楽しむというと、ふざけているというニュアンスに取られがちですが、そうではなく本気でやって楽しむ。真剣にやるからこそワクワクするような、興奮するような楽しさっていうんですかね。これはアメリカに行って改めて獲得できたマインドですね」

　そう言うと藤浪はうなずいた。考えてみればDeNAは12球団のなかでも率先して“エンジョイベースボール”を実践しているチームである。そういった球団と縁があったのも、ひとつの導きなのかもしれない。そう伝えると、藤浪は笑った。

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「そうですね。幸せなことだと思いますし、まだ入って2カ月そこそこですけど、すごくいい球団だし、素晴らしい環境でプレーさせてもらっていると感じています」

　いろいろと話をしてくれる藤浪からは終始揺るぎない芯が感じられた。注目選手がゆえになにかあれば周囲は騒ぎ立てるが、そんなものはどこ吹く風。自分にしっかりとフォーカスし、今、この瞬間を生きている。

リリーフでもどんな形でも貢献できれば

シーズン終盤からポストシーズンへ、藤浪はどんな投球を見せられるか　©SANKEI SHIMBUN

　さてチームはポストシーズンを視野に入れた戦いの最中にあるが、自分としてはどのようにストロングフィニッシュできればと考えているのだろうか。

「与えられた役割を果たすことだけですね。とくにポストシーズンに入れば先発ではなく後ろを任される可能性もあり得ますし、まずはどんな形であれチームの勝利に貢献できればなって。難しく考えることなく、貢献できる場所を与えてもらえるようなパフォーマンスをするだけですよ」

　青い炎のような静かな闘志を漂わせ藤浪は言った。まだDeNAでは数試合の登板ではあるものの、別格の投手である片鱗はそこかしこで見せている。今季残された時間は少ないが、シンプルに自身を解放しきった真の藤浪のピッチングを、ぜひ目の当たりにしたい。

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