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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「お前はどうしてそんなに四球に怯えているんだ、って」DeNA藤浪晋太郎が考え悩んだ末にアメリカでつかんだマインド「シンプルに、楽しむこと」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/09/22 11:07
今季は9月22日現在でまだ4試合登板して1勝ではあるが、実力の片鱗は見せている藤浪。CSに向けてどんな貢献ができるか。本人が語った
「僕がどういう人物で、どんな思考や哲学、感覚、プレースタイル、メンタリティーを持っているのか共有させてもらいました。お互いを理解でき、いい方向へ進むためのいい話し合いだったと思いますね」
本当に大変な苦労をしてきたんだな
そのときの様子を入来コーチは次のように教えてくれた。
「僕は、藤浪という人間を理解するために、彼の歴史が知りたかったんです。高校を出てプロになって3年連続二ケタ勝利して、もう僕から見たらスーパースターですよ。それがなぜ足踏み状態になってしまったのか。
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いろいろ話を聞いたら、それはもうかわいそうなぐらい紆余曲折があって、彼も真面目なのでもう一度本来の自分を取り戻したいと、いろんな人の言葉に耳を傾け、自分を見失ってしまった。そういうことだろうとは思っていましたが、本当に大変な苦労をしてきたんだなって」
入来コーチは自分のことを語るように言葉を紡いだ。
「今も一生懸命やりながら悩んでいると思いますけど、改善の余地はいくらでもあると思っています。そういう意味でこのチームはいろいろな角度からアプローチできるので、彼に合うものを提示できたらなと考えています。
彼にしてみれば、自分の心のなかのものをすべて吐き出すのも一歩前に進むためには必要なことだったでしょうから、本当、話す機会を持てたのはよかったし、うれしかったですね」
野球って楽しいもの
思えば入来コーチもアメリカでの経験があり、藤浪の心境の変化には察しがつく。
「あっちに行くとね、野球って楽しいものだなって思い出させてくれるんですよ。だからすべてが上手くいってなかったとしても、彼はあんなに楽しそうに野球をするんですよ」
ただただシンプルにプレーをして、野球を楽しむ。藤浪は確信を持った表情で言うのだ。

