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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「お前はどうしてそんなに四球に怯えているんだ、って」DeNA藤浪晋太郎が考え悩んだ末にアメリカでつかんだマインド「シンプルに、楽しむこと」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/09/22 11:07
今季は9月22日現在でまだ4試合登板して1勝ではあるが、実力の片鱗は見せている藤浪。CSに向けてどんな貢献ができるか。本人が語った
2023年にポスティングシステムで藤浪はアメリカへ渡った。これまでオークランド・アスレチックスはじめ、ボルティモア・オリオールズ、ニューヨーク・メッツ傘下、シアトル・マリナーズ傘下と2年半渡り歩いてきたが、この経験が藤浪の野球に対する価値観をガラッと変えることになった。
どうしてそんなに四球に怯えているんだ?
「とくにピッチングコーチとの関係なのですが、なにをすべきかを明確にしてくれるんです。『おまえのやるべきことは、ストライクゾーンにアタックすることで、それ以上でもそれ以下でもない』と、自分のコントロールできることとできないことの線引きをしてくれました。
だから試合に出て打たれてしまっても『いやフジ、今日はゾーンにアタックしていてよかったじゃないか。おまえのやることはそれだよ。だからグッドジョブだった。今日はたまたま点を取られたけど、帰って酒飲んで寝て、また明日がんばってくれ』って感じで、本当自分のなかでは新鮮でしたね」
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また制球難についても次のように言われたことがある。
「おまえはいいモノを持っているのに、どうしてそんなにフォアボールに怯えて投げているんだ?」
まとわりついていた呪縛がするりと体から抜け落ちていくのを感じた。アメリカへ渡るのは自分の様子を心配してくれた野茂英雄氏のアドバイスや、海外経験豊富で懇意にしている騎手の武豊らの進言だったというが、藤浪は行ってよかったと心底感じている。
「メンタルスキルの部分で、ものの考え方というのは捉えようによってこれほど変わるんだということを学びました」
ベイスターズのコミュニケーション
野球はメンタルのスポーツである。健全な心なくして、満足のいくプレーはできない。
またDeNAにおいても、藤浪のメンタルにアプローチするための良好なコミュニケーションが取られている。
一軍に登板する前のファームでの試合後、藤浪は入来祐作ファーム投手コーチやアナリストたちと1時間ほど話し合い、有意義な時間を過ごしたという。

