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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「お前はどうしてそんなに四球に怯えているんだ、って」DeNA藤浪晋太郎が考え悩んだ末にアメリカでつかんだマインド「シンプルに、楽しむこと」
posted2025/09/22 11:07
今季は9月22日現在でまだ4試合登板して1勝ではあるが、実力の片鱗は見せている藤浪。CSに向けてどんな貢献ができるか。本人が語った
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
SANKEI SHIMBUN
誰もを魅了する剛球と、その一方の制球難……藤浪晋太郎はいかに呪縛と戦ってきたのか。アメリカでの経験、ベイスターズでの共感。野球は楽しむもの、という思いを再確認した思いのたけを、本人が語った。〈NumberWebインタビュー全2回の2回目/はじめから読む〉
藤浪晋太郎という投手の歴史をさかのぼれば、そこには強いコントラストの光と影が浮かび上がる。大阪桐蔭高校時代に甲子園春夏連覇の快挙を達成すると、2012年にドラフト1位で阪神タイガースに入団。160キロ前後の剛速球を武器にデビューから3年連続二ケタ勝利を挙げるなど、どれだけの選手になっていくかと多くの人たちが関心を寄せた。
一時は自律神経失調症のような状態に
しかしその後、著しく調子を落とし、思うようなピッチングができなくなってしまう。制球難によりフォアボールの呪縛に捉われ、ストレスから一時は自律神経失調症のような症状が出たこともあった。また現状を打破するために、藤浪いわく「パソコンのOSを入れ替える」ような無茶なフォーム改造やピッチングアプローチをしたために、より状態を悪くしたこともあった。
その期間は約7年にも及んだ。並の選手ならば心が折れても仕方がない状況だが、果たして何が自分自身を支えていたのだろうか。藤浪は少し考えると次のように言った。
野球が好きだという思いに支えられて
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「両親はもちろん支えてくれたんですが、まあ単純に野球が好きなんでしょうね。苦しい時期であっても、野球を辞めたいとは一度も思いませんでした。ただただもっと野球が上手くなりたい。もう一度、一軍の舞台でビシッと投げたい。しびれる場面で投げてみたいという思いに尽きますね」
コミュニケーションをとった人間は誰もが藤浪を「野球小僧」と呼ぶ。そんな揺るぎない心根を存分に解放できたのがアメリカだったという。

