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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
青学大はマラソン界の「スタートアップ企業」? 世界陸上“惨敗”で原晋監督は「チームとしてノウハウがある」老舗企業に脱帽も…期待したい旋風の再現
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/18 11:15
世界陸上の男子マラソンで34位に終わった吉田祐也。それでも青学大初のマラソン代表として、得難い経験値を手にした
プラン通り強化は進んだようだったが、
「練習は積めていただけに、なにが原因なのか冷静になってから考えてみたいと思います」
と吉田は振り返ったが、その言葉を聞いて、「チーム青学」としてみれば、世界で戦う情報がまだ不十分で、今回のレースからようやく蓄積を始めたということだろう。
マラソン経験豊富な実業団との違い
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日本のマラソン界を見ると、各実業団がチームとしての「知的財産」を所有している。
今回、23位となった小山直城(Honda)は、レース後に、
「Hondaでマラソンをしている選手とひとりでも多く、一緒にロサンゼルス・オリンピックに向けたMGCを戦っていきたいので、練習を頑張っていきたいと思います」
と話していた。パリ・オリンピック、そして東京世界陸上と、世界の舞台で走った経験をチームにフィードバックしていく意欲が感じられる。
また、終盤まで粘りの走りを見せ、11位に入った三菱重工の近藤亮太(順天堂大卒)が、TBSテレビのインタビューに対し、最後に「マラソンやるなら三菱重工!」とひと言付け加えたのが面白かった。
過去、三菱重工からはアジア大会2018男子マラソンで金メダルを獲得した井上大仁(山梨学院大卒)、ブダペスト世界陸上2023代表の山下一貴(駒澤大卒)、杭州アジア大会2023の代表となった定方俊樹(東洋大卒)と、明らかに三菱重工に入ってから実力を伸ばして日本代表になった選手が複数いる。
近藤のコメントを受けて原監督は、「三菱重工さんには、チームとしてのノウハウがあるんだと思います」と素直に認めていた。

