井上尚弥に完敗「慌ててグローブを…アフマダリエフは不満げだった」英国人記者が目撃した“敗者の誤算”「イノウエがあの戦いをしたらナカタニでも勝てない」 

　フェザー級にまで視線を伸ばすと、文字通り、そして比喩的にも最大の脅威は身長185cmのメキシコ人、WBO世界フェザー級王者ラファエル・エスピノサだ。

　この階級では破格の身長を持ったエスピノサは、スタイル面だけで言えば誰にとっても悪夢のような相手だ。身長差があるだけでなく、エスピノサはリーチもヘビー級並。だとすれば、イノウエもこの相手には距離を詰める努力をするより他にない。結局はイノウエのボディ攻めが決め手になるとは思うが、興味深いカードではある。

　同じフェザー級ではWBA王者のニック・ボール（イギリス）も別の意味で手強い。ボールはとにかく猪突猛進してくるタイプで、いわば“破壊球（ボール）”のような感じ。そのフィジカルの強さはイノウエにとっても厄介になるポテンシャルを秘めている。

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　その他、WBC世界フェザー級暫定王者になったばかりのブルース・“シュシュ”・キャリントンも難敵だし、フェザー級には本当に強い相手が多い。とはいえ、正直に言えば、私は最終的には誰と戦ってもイノウエが勝ち残ると思う。適切な相手と試合が組まれれば、イノウエはテレンス・クロフォードが成し遂げたような“トリプル・アンディスピューテッド（3階級での4団体統一）”の達成も十分に可能だ。

識者たちを唸らせる完璧なアウトボクシングを披露した井上尚弥　©︎Hiroaki Finito Yamaguchi

　MJにああいった形で完勝したことで、これから先がますます興味深くなった。歴史的に見ても稀有な王者である“モンスター”の快進撃を、これから先も楽しみに追いかけていきたい。〈全2回／前編から読む〉