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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
阪神独走Vを許したセ各球団の“大誤算”「バウアー自滅、牧秀悟もオースティンもケガのDeNA」「巨人は戸郷翔征“投球過多のツケ”と岡本和真ケガ」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/JIJI PRESS
posted2025/09/16 17:03
戸郷翔征、バウアーが苦しんだ巨人とDeNA……阪神独走優勝の裏で起きていた各球団の誤算・敗因を探る
藤浪晋太郎
22年 16試3勝5敗66.2回 率3.38 21与四球(阪神)
25年 4試1勝0敗20.2回 率3.05 7与四球(DeNA)
まだ断定はできないが、藤浪はポストシーズンへ向けて戦力になる可能性がある。山﨑康晃が衰えて以降、クローザーは森原康平、入江大生と替わってきた。今季の入江は22セーブを挙げているものの防御率3.29、合格とは言い難い。伊勢大夢、ローワン・ウィック、宮城滝太と中継ぎ陣が優秀だけに抑えが課題だった。
打線ではオースティンも牧も戦線離脱
打線は、昨年の首位打者が戦線離脱した。
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タイラー・オースティン
24年 125安25本69点 率.316
25年 54安10本26点 率.263
オースティンは6年目だが1回しか規定打席に到達せず。故障はある意味で織り込み済みではあった。しかし、昨季復帰した筒香嘉智もぱっとせず、さらに絶対的な中軸である牧秀悟が負傷し今季絶望となった。チームは前中日のダヤン・ビシエド、昨年一時期在籍したマイク・フォードと契約。FA権を得たことで外国人枠を外れたビシエドは率.290、2本塁打と存在感を増している。しかし、不動のレギュラーがフルで働いた阪神とは打線でも大きな差があった。
対阪神戦は7勝13敗2分、終盤に来て巨人を抜き2位浮上。昨年に続きポストシーズンでの「下剋上」を虎視眈々と狙っている。
巨人の誤算…1つ目は“投球過多のツケ”戸郷
《巨人》
昨年のセ・リーグ覇者巨人は今季、投打ともにいくつもの「誤算」があった。
投手陣では、昨季は菅野智之が156.2回を投げ15勝で最多勝、MVPをとる活躍でエース復活を告げた。しかし菅野は昨年10月に海外FA権を行使して35歳でMLBに挑戦すると表明。今季の「欠損」はその時点で明らかになっていた。
しかし巨人投手陣は、菅野の後輩たちが育っていた。その筆頭格が、戸郷翔征。昨年の戸郷は勝ち星こそ菅野に及ばない12勝だったが、投球回はリーグ2位の180回、防御率も1.95。そして対阪神戦は菅野が1勝1敗だったのに対して戸郷は4勝2敗。菅野の離脱も、戸郷のさらなる台頭によってある程度穴埋めができると考えられてきた。しかし、ふたを開けてみれば――。
戸郷翔征
24年 26試12勝8敗180回 率1.95
25年 18試6勝8敗98回 率4.13
登録と抹消を5回も繰り返し、規定投球回数にも遠く及ばず。そして阪神戦も0勝3敗だった。菅野の退団は織り込み済みとしても、戸郷の不振は大きな誤算だった。戸郷は原辰徳前監督時代の23年に140球以上投げる登板が4試合もあった。阿部監督になった昨年は134球が最多だったが、こうした「投球過多」のツケが今季に回った感がある。
じつはライデル…中日時代より登板ペース減
2番手の山﨑伊織は今季開幕から5連勝、36回無失点と無双の活躍。しかしそれ以降は5勝4敗、大化けしたとは言えない成績になっている。阪神戦は2勝0敗と健闘したが……。
山﨑伊織
24年 24試10勝6敗147.1回 率2.81
25年 22試10勝4敗144.2回 率1.74
これに続く先発投手は赤星優志の6勝。救援の大勢が勝ちを拾って8勝しているが、今季の巨人は確固たる「エース不在」のまま戦ってきたといえるだろう。先発投手陣がパワーダウンしたことが、救援陣にも影響する。

