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世界陸上3000m障害「三浦龍司がメダル候補」と断言する“決定的理由”…注目は「中盤の揺さぶり」「ラストの位置取り」最後のカギは…会場の雰囲気!?
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生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/15 11:04
世界陸上男子3000m障害の予選1組3着で決勝へと進んだ三浦龍司(SUBARU)。決勝ではこの種目で日本初となるメダル獲得なるか
そして3組目に王者エルバカリが登場。彼は強い。
世界記録保持者のラメチャ・ギルマ(エチオピア)との対決に注目が集まった。レースではギルマが転倒に巻き込まれ、最下位に落ちてしまったが、スローペースも幸いして追いつき、最後はエルバカリとのスプリント勝負となった。
ギルマは途中で出力を上げたせいもあっただろうが、最後のスパートではエルバカリに一日の長があった。絶対的な速さが違った。
本命・エルバカリは揺るがないが…
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予選を3本見て、エルバカリが本命なのは間違いないし、決勝でも彼がレースの中心にいる。テレビで観戦するにしても、エルバカリの表情に注目して欲しい。
およそ8分に及ぶ3000m障害の見どころとしては、エルバカリはラスト1周に絶対的な自信を持っている。残り400mの時点からペースを上げ、ライバルたちに絶望を与える。一方、ギルマをはじめとするエチオピア勢は、ラスト勝負では勝てないので、どこかの時点で揺さぶりをかけてくるはずだ。ふるい落とし。ここでは、三浦の対応力に期待したい。中盤で自ら揺さぶりをかけられるし、残り1周の力もある。脚質は自在である。
そして三浦の持ち味は、ハードリングだ。予選を見ていても特に惚れ惚れするのは、水濠の越え方である。跳び終えると、半歩、他の選手よりも前に出る。滑らかで、美しい。対するエルバカリは、ハードリングに向けて歩幅を合わせる。「これから、跳びます!」という感じなのだ。

