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「私は一度、消えているので…」初出場の世界陸上で準決勝進出の快進撃…女子100mハードル“30歳のニューヒロイン"中島ひとみ「波乱万丈の軌跡」
posted2025/09/15 11:03
初出場となった世界陸上女子100mハードルで準決勝進出を決めた中島ひとみ(長谷川体育施設)。30歳の遅咲きハードラーの軌跡とは?
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto
「本当にびっくりです。どこがよかったのか自分でも気になるので、早く振り返りたい」
2025年5月、セイコー・ゴールデングランプリで日本歴代3位となる12秒85をマークした中島ひとみ(長谷川体育施設)の表情には、驚きと喜びがまじりあう笑顔が浮かんでいた。
近年、ハイレベルな争いが続く日本の陸上女子100mハードル界に、今年30歳を迎える"新星"が現れた。中島は自己記録を一気に0秒08更新する好走だった。
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海外選手も出場するハイレベルな大会独特の雰囲気に背中を押されたという。
「私が大切にしているワクワクする気持ちを持てました。緊張の中にも楽しさがあったことが、良い結果につながったと思います」
その後も好走を続けた中島は、7月下旬に東京世界陸上の参加標準記録を突破する12秒71という自己新記録をマークした。これは日本歴代2位のタイムである。
だが、これほどの成果を出すまでには、約10年の苦労があった。
中学で全国制覇…しかし突如起こった「異変」
兵庫・荒牧中1年で陸上を始めた中島は、当初茶道部に入るつもりだったが、陸上部の先生に誘われて競技の世界へ。幼少期から「負けず嫌い」だった彼女は、すぐに競技にのめり込んだ。
中学3年時、指導者の転勤という壁にぶつかる。ハードルを教えてくれる指導者がいなくなったが、上達への思いは強く、部活後も自転車に乗って以前の先生のもとへ通い、午後9時まで公園や道路で指導を受けた。
「陸上がめちゃくちゃ好き」だった彼女にとって、人より多い練習も苦にならなかった。その努力は実を結び、全国中学校体育大会で優勝。夙川学院高に進学後も、高校2年時の日本ユースや国体で優勝するなど順風満帆だった。
「すごく燃え上がっていました。第三者の視点で見ると、あの時が一番キラキラしていた。努力は実るって、素直に思っていました」
そんな中島の歯車が狂いだしたのは、高校3年のときだった。そしてそこから10年間、なぜ彼女は雌伏の時を過ごすことになったのか——その続きは、本編で描かれている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
