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世界陸上3000m障害「三浦龍司がメダル候補」と断言する“決定的理由”…注目は「中盤の揺さぶり」「ラストの位置取り」最後のカギは…会場の雰囲気!?
posted2025/09/15 11:04
世界陸上男子3000m障害の予選1組3着で決勝へと進んだ三浦龍司(SUBARU)。決勝ではこの種目で日本初となるメダル獲得なるか
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
世界陸上は、面白い!
2017年、ロンドン大会の盛り上がりの記憶が消えないので、東京は大丈夫だろうか……と少々心配していたが、競技が白熱してくると歓声がスタジアムを包んだ。
いい大会になりそうな予感がする。
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さて、15日月曜日のイブニングセッションの目玉は、男子3000m障害だ。正真正銘のメダル候補、三浦龍司が登場する。なぜ、正真正銘かというと、今季の自己ベストが世界のトップ3に入っているからだ。
「自己ベスト」より大事な「シーズンベスト」
メディアは自己ベスト(PB)を重視するが、私の取材経験では、あまり参考にならない。あくまでSBこと、シーズンベストが重要だ(自己ベストを出せば、パリ・オリンピックで表彰台に上がっていました――とかいう論法は百害あって一利なし。ご用心)。あくまでも、今年の調子が重要。では、今季の3000m障害のSBランキングを見てみよう。
◆スフィアン・エルバカリ(モロッコ) 8分00秒70
◆フレデリク・ルッペルト(ドイツ) 8分01秒49
◆三浦龍司 (日本) 8分03秒43
SB、三浦龍司は世界3位。正真正銘のメダル候補であります。
三浦のこのタイムは、7月11日のモナコでマークされた日本記録で、しかもこのレースはエンタメ性にあふれていた。
レースでは東京、パリとオリンピック2大会連続金メダルのエルバカリが先行。余裕をもってレースを進めていたが、残り1周を切ってから三浦が猛追、なんと最後の1台を跳び終えた瞬間に三浦がわずかに前に出た。動画を見ながら、「えっ?」と声が出たほどだ。

