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左打者を並べた“藤浪対策”に見る頭部死球問題。
posted2025/09/07 09:00
前日の試合では6人の右打者をスタメン起用していた中日。この日は全員が左打者だった
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
メジャーリーグには“ヘッドハンター(首狩族)”と呼ばれた投手たちがいた。松井秀喜さんらとニューヨーク・ヤンキースの黄金時代を担ったロジャー・クレメンス投手や、イチローさんが「完璧な投手」と称賛したボストン・レッドソックスのペドロ・マルチネス投手は、その代表格である。
威力のあるストレートで厳しい内角攻めをして打者を威嚇し、巧みな投球術で打ち取っていく。インハイという投手の“聖域”をどれだけ操れるかが、一流の証ということだ。しかし厳しい内角攻めには事故もあった。
クレメンスは'00年7月8日のニューヨーク・メッツ戦でマイク・ピアッツァ捕手の頭部にぶつけている。クレメンスはピアッツァを苦手にして、この対戦の1カ月前には満塁本塁打を浴びていた。そこでこの頭部死球が「故意ではないか」と騒動になったのだ。ただクレメンスは24年間の現役生活で、与死球王はわずか1度だけ。本来は制球力の高い投手だったからこその故意死球疑惑だった。逆に言えばクレメンスもマルチネスもインハイへの絶対的な制球力を持っていたので、意識的な“ヘッドハンター”になれたのである。
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