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「ノーコン」克服に向かう藤浪晋太郎。過酷な日程の中で見つけた方策。
posted2023/09/27 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
今季のトレード期限前、アスレチックスからオリオールズへ移籍した藤浪晋太郎が、着実に本来の底力を発揮し始めた。8月13日に日米を通して初セーブを挙げると、9月5日には延長タイブレークを切り抜けて2セーブ目をマークするなど、緊迫した場面での登板が増えてきた。開幕直後、制球難に苦しみ、先発から救援に配置転換された時期のような不安定さはない。日本人メジャー最速を更新した時速102.6マイル(約165.1km)の速球、高速スプリットを主体に、攻撃的な投球で圧倒する登板が激増した。
技術的には、二段モーション気味に「タメ」を作るフォームへ改良した。投げ急ぐと左肩が開き気味になる悪癖が改善され、制球が格段に安定した。8月16日からは11試合連続無四球(9月10日終了時)を記録するなど、もはや「ノーコン」のイメージはない。クイック投法の際には少し遅めに修正するなど、コーチ陣からの助言だけでなく、自主的に工夫を凝らし、好結果につなげてきた。