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「赤外線透過カメラで盗撮されたことも」ビーチバレー“小学生から大学生まで”指導する現場の本音とは…佐伯美香が語る、競技環境の未来
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吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byAi Yoshida
posted2025/09/06 11:04
地元・愛媛で学生の指導に当たる佐伯美香さん
この環境を強固なものとしていくには、縦と横の広がりやつながりも重要だと考えている。佐伯は「B-sport」の運営以外にも、他クラブチームやパーソナルのバレーボールスクール講師、ビーチ・マリンスポーツの普及を目指す『NPO法人日本ビーチ文化振興協会』の代表理事を務めるなど、コートの外でのネットワークも意識している。
「できる限り、自分ができると思うことには挑戦しています。求められたら断れないタイプというのもあるんですけどね。なかにはボランティアに近いものもありますが、収入は度外視。それについて家族から言われることもありますけど(苦笑)、私自身は実際に何かがどこかでビーチバレーの強化につながっていると思っていて、今はそんな日々が楽しいと思えています」
「赤外線透過カメラで盗撮された」ことも…指導者の思い
もちろん、課題もある。ひとつは指導者として選手たちの人権を守らなければいけない点だ。佐伯自身も現役時代、たびたび被害にあってきたように、学生スポーツ界では選手の肖像権を侵害する盗撮行為も起きている。
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「私自身は、下半身を望遠カメラで狙われたこともありましたし、赤外線透過カメラでユニフォーム姿を撮影された写真が流出したこともありました。当時は変な人が近くにいるなと思えば、距離を置いて警戒はしました。幸い、競技に支障が出たことはなかったので、私自身は必要以上に気にしないようにしていました。
うちの選手たちは水着を着て練習しているので、そういうことがあったら当然注意したいし、選手たちに嫌な思いはさせたくない。人が多く集まる大会ではとくに気を付けていきたいですね」
課題のもう一つは、巣立って帰ってきた卒業生たちが、ここ松山で活躍できる場所を増やすこと。地元でバレーボール関係の仕事に携わっている者もいるが、それを生業にできる環境はまだまだ少ないのが現状だ。
「卒業生たちが地元に帰り、外で学んできたことを地元に落とし込めるような、バレーボール、ビーチバレーに関われる場所を作っていく必要があると思っています。そんなふうに地元と外の世界を循環する仕組みを確立させていくことも今後の目標。バレーボール、ビーチバレーに携わったならば、長く続けてほしいと思うし。自分自身も活動していくうえで1人では無理ですから」

