甲子園の風BACK NUMBER
広陵“じつは取材統制あった”異例の復帰戦ウラ側「抗議する記者も…誰が質問を制限した?」現地記者は見た…中井哲之を継いだ“34歳監督”は険しい表情
posted2025/09/01 06:01
甲子園辞退から新チーム初戦を迎えた広陵。現地記者が見たウラ側
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井上幸太Kota Inoue
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Kota Inoue
ごく一般的な試合風景だった。ただ一点、周囲の喧噪を除いて。
8月30日。広島県屈指の名門である広陵が、過去の部内暴力事件を発端とした夏の甲子園大会中の出場辞退後、初めての公式戦に臨んだ。
会場である広陵のグラウンドに駆け付けた報道陣は、地元紙、テレビ局などの地元メディアに限らず、主要スポーツ紙全紙を含む20社以上。記者、カメラマンの複数体制で取材に臨んだ社もザラだった。
警察にも試合日程伝えていた…
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今回の試合は、9月中旬に開幕予定の秋季広島県大会の出場校を決定するために、地区別で実施される「地区予選」で、例年であれば報道陣は皆無。これだけの取材関係者が詰めかけるのは異例と言っていい。
広島県高野連も、過熱する報道への対策として、事前にウェブ上の「取材申込フォーム」を作成し、報道陣の見込み数を把握。一般観客の入場を制限しただけでなく、学校のある広島市安佐南区の警察署にも試合日程を伝え、不測の事態に備える徹底ぶりだった。
厳戒態勢の中プレーボールがかかった県立油木(ゆき)高との一戦は、広陵が初回から打者一巡の猛攻で8得点するなど、毎回複数得点。守っては、先発した最速143キロ右腕の柴田翔大ら投手陣が0を並べ、23―0の5回コールド勝ちを収めた。
試合終了直後、大会運営をつかさどる、県高野連関係者から取材開始時間がアナウンスされ、報道陣が一斉に取材場所へと移動する。まず、報道陣が成す輪に身を投じたのが、8月21日付で、中井哲之前監督に代わって指揮を執ることになった松本健吾新監督、34歳だった。
取材統制あった…現場の様子
8月30日の試合終了後から順次各社が記事をリリースしたが、掲載されるコメントにどこか“つぎはぎ”のような違和感を覚えた読者もいるのではないか。それは、試合後の取材にあたって、県高野連が敷いた質問内容の制限が関係している。


