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「コウシエン見てます。ホークスも最高」イタリア高校球児と名将に聞く“野球後進国”のホンネ「我々はスパゲティとサッカーだけではない」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byNumberWeb(家族提供)

posted2025/09/01 17:01

「コウシエン見てます。ホークスも最高」イタリア高校球児と名将に聞く“野球後進国”のホンネ「我々はスパゲティとサッカーだけではない」<Number Web> photograph by NumberWeb(家族提供)

日本にルーツを持つイタリアの高校球児、ルポ拓真に聞いた「コウシエン、ニッポン野球」への印象とは

 初めてイタリア代表に呼ばれたのはU-12年代のとき。U-15年代からセリエA(イタリア1部リーグ)クラブであるフィオレンティーナに移籍した。

 MLBがFIBS(イタリア野球ソフトボール連盟)と提携しスカウトキャンプを定期的に開催することもあって、イタリアの10代にはメジャーリーグ志向の選手が多いが、ルポは違う。自分のオリジンでもある日本の野球が好きなのだ。

好きなチームはホークス。一度日本で腕試しを

 日本旅行のたびに北海道から九州までパ・リーグの球場を訪れた。好きなチームは「ホークス」。もちろん福岡ソフトバンクホークスのことだ。

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「2018年、広島との日本シリーズをTVで見たんですよ。本当にすごかった。そこからですね、ホークス最高です。PayPayドームで生の試合を見たときは感動しました。大観衆が熱狂的に応援していて最高の雰囲気でした」

 ホークスのことを語る彼の声は朗らかで、日本の高校野球に挑戦したいと思ったことはないか、と質問を重ねた。「考えないでもなかったけれど、小さい頃からずっとイタリアの学校に通っているから……日本語も少ししか話せないし」と、やや尻込みするもやはり胸中には秘めた思いがある。

「でもやっぱり……願望はあります。一度、日本で腕試しをしてみたい。実際にイタリアと日本で野球にどう違いがあるのか、肌で感じてみたい。もし機会があれば挑戦してみたいです」

 所属クラブでの練習は週3回、2時間程度で残りは自宅で自主練に励んでいる。そんな拓真は「イタリアにもバッティングセンターがあればいいのに」と笑いながら、セリエAに参戦するトップチームの練習にもすでに参加している。

“最初はギクシャクした”仲間たちに対しては…

 クラブの公式戦がストップする夏は、代表チームの季節だ。本来の意味でのアマチュア精神が根強い欧州野球界では、伝統的に五輪と世界選手権、欧州選手権へのプライオリティが高く、各国連盟が代表チームにかける熱意やライバル意識には並々ならぬものがある。

 昨年7月、ドイツで開催されたU-18欧州選手権で、イタリア代表は通算15回目の同タイトルを獲得した。9月5日に沖縄で開幕するWBSC U-18野球ワールドカップに欧州王者として臨む。

 ちょうど夏の甲子園が開幕する頃、U-18イタリア代表はワールドカップに向けた最終合宿と強化試合を行った。飛び級参加したルポ拓真の本大会招集は叶わなかったが、沖縄に飛ぶ仲間たちに思いを馳せる。

【次ページ】 名伯楽が語る「スパゲティとサッカーだけの国ではない」

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