甲子園の風BACK NUMBER
「コウシエンは日本のU-18スーパートーナメント」ニッポン高校野球に憧れる“後進国”球児・関係者「いい意味でロボ」「酷暑のプレーは…」
posted2025/09/01 17:00
1世紀超の歴史を持つ夏の甲子園と高校野球。この競技においては“後進国”であるイタリアの野球人からはどう見えるか
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Hideki Sugiyama
暑さ対策で7~8月はU-18公式戦はないイタリア
イタリアの夏に甲子園はないが、高校球児はいる。
大人に混じってセリエAのベンチ入りする18歳がいる一方、チェコやオランダの選手とピッツァで交流を深めた16歳もいる。
日本同様、酷暑にあえいだ欧州で、異国の高校球児はどんな野球の夏を過ごしたのか。
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「イタリアでは暑さを避けるために、7月から8月にかけてはU-18年代の公式戦はありません。州別リーグ戦は4月に開幕して6月には終わりますから。今は全国選手権にあたるプレーオフに備えているところです。プレーオフは9月末からですね」
イタリア屈指の強豪野球クラブ、「ボローニャ・フォルティトゥード」の育成部門部長ダニエレ・ナティッリの語り口は明快だ。
ボローニャはセリエA(イタリア1部リーグ)優勝14回を誇る名門で、年代によって4つにカテゴリー分けされる育成部門には高校生年代にあたるU-18チームがある。
イタリアの高校生チームの大まかなシーズンの流れはこうだ。日本の都道府県にあたる州ごとにリーグ戦を春から戦い、その上位チームが地域代表としてプレーオフ出場権を得る。夏の中断期間を経て、秋からのプレーオフ・トーナメントで国内優勝タイトルを目指す。
U-18ボローニャは過去に4度全国制覇しており、今季も国内最激戦区のエミリア・ロマーニャ州リーグを制した。秋からのプレーオフでも有力な優勝候補だ。
試合数が少なすぎて、個人とチーム強化が進まない
夏の暑さを避けて休養、というのは理に適っているようだが、根っからの野球人であるナティッリ部長はむしろ中断期間を歯がゆく思っているらしい。
「育成年代の試合数が少なすぎて、選手個人やチームの強化が進まないんです。国内で数をこなせている方のうちですら、U-18チームの年間試合数は最大で20から22試合だけ。夏の暑さには閉口しますが、我々としては夏の間も選手たちに(試合の強度は問わず)少しでも多くのゲームを経験させてやりたい」

