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甲子園の風BACK NUMBER
「通いだからこそできることも…」甲子園“広陵事件”で話題の野球部「寮生活問題」…寮のない超強豪はなぜ勝てる? 保護者に栄養指導、アプリの活用も
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byNanae Suzuki
posted2025/08/31 11:01
大阪の超強豪校・履正社野球部を率いる多田晃監督。甲子園常連校としては珍しく、履正社は寮を設けていない
同じ大阪で常に比較されるのがライバルでもある大阪桐蔭だ。
大阪桐蔭は逆に野球部寮でチーム力を高め、試合では寮生活で培った一体感で勝負できることもチームの強みとしている。「寮生活でしか築けない」というチームワークがあるとすれば、履正社として見れば履正社らしいカラーを出そうという思いもある。
「ウチはそこまで一体感を出せているのか分かりませんが、こうやって各自で練習する時間があるからこそ、自主性、自律性がいかにつくかというのが勝負です。寮生活でしか身につかないこともあると思いますが、逆にウチのような“通い”だからこそ、自分でやれる力、感覚が身についていけば……というのはあります」
自分の時間があるからこそ…「それをどう使うか」
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実際、山田哲人(ヤクルト)や坂本誠志郎(阪神)をはじめNPBで活躍している履正社OBは多い。本気でプロを目指して履正社の門をくぐる選手も多く、高い意識を身につけて次のステップに進めるか、この2年半でどれだけ成長できるかを指導陣は期待している。
「自宅に帰るからこそ、自分の時間をどう有意義に使えるかというのも大事になってくると思います。グラウンドや学校を離れても、いかに意識を高く持てるかだと思います」
決められたルールの中で送る寮生活で身につくことが多いのは間違いないが、自由の中で自分を律しながら成長していけるかも重要だ。
多様性の時代である今、いかに“自己管理”ができる人間になれるか。それが個々の成長へのカギと言っても過言ではない。

