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「巨人を蹴って阪神を逆指名!」マスコミは熱狂…暗黒期のドラ1投手が明かす「タイガースを選んだ本当の理由」 悩んだ過熱報道とフォーム矯正
posted2025/08/30 11:00
現在はロキテクノ富山の監督を務める藤田太陽氏
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佐藤春佳Haruka Sato
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NumberWeb
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阪神を離れて16年になる。ロキテクノ富山の監督に就任して5年目。2022年には北信越地区代表として都市対抗野球に出場するなど、社会人野球の指揮官も板についた藤田さんだが、古巣の動向は今も気になる。
「テレビで見て応援しています。なかなかリアルタイムでは見られないですけどね……でも、いつも気にして見ています。やっぱり、阪神は好きですよ」
盟友・藤川球児は阪神の監督に
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就任1年目で2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇へと突き進む藤川球児監督は、藤田さんの1歳下。若き日を共に過ごした盟友との思い出は数えきれないほどある。
「初めてキャッチボールした時、こいつはなんて球を投げるんだ! と驚いたのが第一印象。一緒に練習したりリハビリしたりするようになって、次に驚かされたのはその洞察力や野球センスでした。このバッターはここに投げたらこうなる。こういう反応をしたら次はこっち、とか、ずっと考えているんですよ。タクシーでの移動中や、ご飯を食べながらでもよくそんな話をしていました」
45歳のルーキー監督ながら、常に冷静に采配を振る姿はイメージ通りだと話す。
「現役時代から誰よりも分析能力が高くて、もう1つ目があるのかなと思うほど物事を多角的に把握していた。ピッチャーだけど、ある意味キャッチャー的な見方をしていました。さらに、それを言葉で表現するのも上手いんです。阪神の監督は重圧もあるし、大変なストレスだと思いますよ。でも彼は素の“藤川球児”というところから切り離して、“藤川監督”としての指揮官像をしっかり作り上げてやっていると思います」
懐かしそうに目を細めながら、盟友の快進撃を喜んだ。
逆指名で“巨人ではなく阪神”を選んだ理由
藤田さんがドラフト1位で阪神に入団したのは2001年のこと。前年から巨人と阪神が大争奪戦を繰り広げた末、10月初旬に逆指名で阪神入りを決断。秋田県出身で、地元の新屋高から社会人野球・川崎製鉄千葉へと進んだキャリアの中で、全く縁のなかった関西の人気球団を選んだ。

