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ドゥーハン、ロッシ、そしてマルケス…最強時代を築いた“強くて速すぎる”ライダーと、NSR500~GP25に至る名車の系譜

posted2025/08/28 11:00

 
ドゥーハン、ロッシ、そしてマルケス…最強時代を築いた“強くて速すぎる”ライダーと、NSR500~GP25に至る名車の系譜<Number Web> photograph by Getty Images

ゼッケン「1」を初めてつけた95年のドゥーハン。これ以降、レプソルカラーは常勝の象徴となった

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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 バラトン・パーク・サーキットで開催された第14戦ハンガリーGPで、マルク・マルケスが今季10勝目を挙げた。土曜日に行われるスプリント(決勝レースの半分の周回数)では13勝目を達成しており、マルケスは14戦して実に23回の勝利を味わったことになる。

 ホンダからドゥカティに乗り換えて2年目、ワークスチーム入りして1年目にして予想を遥かに上回る強さを見せている。ホンダ時代には最高峰クラスで6回のタイトルを獲得したが、圧倒的な強さを見せた2014年シーズン(シーズン最多勝利記録13勝、史上最多記録に並ぶ10連勝)の最多勝記録を更新することが予想される。

 今季のマルケスはレースをこなす毎に強さに磨きをかけてきた。後半戦のスタートとなった第13戦オーストリアGPでは、これまで優勝したことがないサーキットのひとつであるレッドブルリンクで快勝。ハンガリーGPでは初開催のバラトン・パークで、まさにライバルを圧倒する強さを披露した。これでMotoGP開催サーキットのうち、優勝経験がないのはポルトガル(アルガルベ)とインドネシア(マンダリカ)の2つとなった。

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 レッドブルリンクの勝利はマシンのパフォーマンスもあってのことで、バラトン・パークの勝利はライダーのパフォーマンスを如実に反映したもの。今季のドゥカティ+マルケスの強さを象徴する2連勝だった。

圧倒的に強かったふたりのレジェンド

 マルケスは強くて速すぎる。僕がグランプリを取材しはじめた1990年以降で、これほどの強さを見せたライダーは他にふたりだけ。90年代に5連覇を達成したホンダのミック・ドゥーハンと、2000年代にホンダとヤマハで7回タイトルを獲得したバレンティーノ・ロッシである(1960〜70年代にはジャコモ・アゴスチーニというレジェンドがいたが、この先は90年代以降の話として読んでほしい)。

 ドゥーハンは94年から98年まで圧倒的な強さでタイトルを取り続けた。象徴的なシーズンは97年で、全15戦で12勝という記録を打ち立てた。この記録は2014年にマルケスの13勝に破られるが、そのシーズンは全18戦の開催で勝率は72%。97年のドゥーハンは80%だったので、1990年以降に限った勝率でいえばドゥーハンの記録はいまだに世界一である。

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