酷暑甲子園「継投か続投か問題」169球vs151球完投…悩める両監督の試合後ホンネ「正直変えにくい部分が」県岐阜商は“継投策ズバリ” 

　疲労が残る末吉は本来の球威を欠き、7イニングで5点を失った。指揮官は敗戦後、「投手の柱が2本ないと甲子園で勝ち上がれないと痛感しました。夏までに新垣を育てることが最大の課題です」と話した。その言葉通り、夏までの半年間で新垣と末吉で左右の2本柱をつくり上げた。準々決勝から決勝までの3試合は全て、新垣か末吉のどちらかが先発し、2人のリレーでチームを勝利に導いている。

　早めの継投でリードを守ったり、試合の流れを変えようとしたりするチームもある。

　ベスト4に入った山梨学院は、先発投手を交代させる判断が早いチームの1つだった。右肘に痛みが出て1イニングで降板した準決勝を含め、全4試合で先発は背番号1の菰田陽生が務めていた。

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　ただ、吉田洸二監督は菰田の球威が落ちてきたと判断したら、迷わずに投手を代える。準々決勝の京都国際戦では4点リードの4回2死一、二塁、初球が大きく高めに外れたところで檜垣瑠輝斗に交代。吉田監督は「菰田の球が1、2回戦より走ってなかったので思い切って代えました」と説明した。

“公立の星”県岐阜商も継投がハマった

“公立の星”として大会を盛り上げた県岐阜商も、継投でベスト4まで勝ち上がった。3回戦の明豊戦前、藤井潤作監督は「勝敗を左右するのは継投。総力戦で挑みます」と勝利のポイントを挙げた。

　先発に指名したのは、背番号10の豊吉勝斗だった。

　3点リードの2回に1点を失い、さらに2死一、二塁の場面で早々と背番号20の渡辺大雅に交代した。渡辺は岐阜大会で一度も登板がなかったが、120キロ台の直球にスライダーやチェンジアップを組み合わせて打者のタイミングを崩して4イニングを無失点。最後はエース柴田蒼亮にバトンを渡し、県岐阜商は3投手のリレーで勝利した。

　続く横浜との準々決勝は渡辺が先発し、強力打線を5回まで1安打、無失点に封じた。6回から登板した柴田は味方の失策やタイブレークでの登板もあって、自責点は1ながら7点を失ってリードを守り切れなかった。それでも、県岐阜商は延長11回を3番手の和田聖也が無失点に抑え、その裏にサヨナラ勝利を飾った。大黒柱の柴田が投手陣をけん引しているとはいえ、継投が上手くいったからこそ、下馬評を覆して強豪校を撃破し、ベスト4まで進出できた。

スカウトが集まるエリアに空席…なぜ？

　甲子園期間中の猛暑は年々、厳しくなっている。暑さは投手の体力を奪い、疲労を蓄積させる。球数制限も設けられ、複数人の投手で勝ち上がる戦い方はスタンダードになっている。トーナメントを勝ち抜く上で、投手の特徴を生かす起用法や継投のタイミングは今まで以上に重要さを増している。

　そんな甲子園、今夏も大観客で沸いた一方で――空席が目立つ一角があったという。それはプロ野球のスカウト陣が集まるエリアだ。一体、なぜか。〈つづく〉

#3に続く

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#3

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