酷暑甲子園「継投か続投か問題」169球vs151球完投…悩める両監督の試合後ホンネ「正直変えにくい部分が」県岐阜商は“継投策ズバリ”

169球、151球完投…強豪校監督が語ったこと

　続投か、継投か――。

　勝敗を左右する要因にもなる決断は、いつの時代も監督たちを悩ませる。記録的な暑さや球数制限、相手チームの研究など判断材料が増えた近年の高校野球では、その難しさが高まっている。

　今夏の甲子園で好ゲームの1つに挙げられる沖縄尚学と仙台育英の一戦は、両校の指揮官が「続投」を選んだ。試合後、仙台育英・須江航監督は晴れやかだった。その表情は、勝者と誤解するほどだった。

ADVERTISEMENT

「見ていたお客さんも記者の皆さんも同じ感覚だと思いますが、吉川と末吉君の空間になっていました。誰もそこには立ち入ることができないかなと思いました」

　沖縄尚学が5-3で仙台育英を下した熱戦は延長11回までもつれ込んだ。両校のエースが最後までマウンドを譲らなかった。球数は沖縄尚学・末吉良丞が169球、仙台育英・吉川陽大は151球に上った。

沖縄尚学戦での仙台育英・吉川。151球を投げ切った　©JIJI PRESS

　けがの予防を目的に、日本高校野球連盟では2020年から試行期間を設けて1週間で500球以内の球数制限を導入した。今年から正式にルール化されている。甲子園の過密スケジュールや暑さを考慮し、投手の完投が減っている中、1試合の球数が150球を超えるケースは珍しい。ただ、須江監督には明確な方針や根拠があった。

「もちろん投手の球数や健康状態は、とてもとても管理しています。球数などは1年間、かなり細かく管理しながらやっています。きょうは吉川が100％フレッシュな状態ということで投げさせています。トレーナーや理学療法士によるメディカルチェックを終えていますから」

「違う投手4人で勝ち上がろうと」

　吉川は今大会、完封した初戦の鳥取城北戦（8月6日）で129球、2回戦の開星戦（8月14日）で100球を投じている。須江監督は17日の沖縄尚学戦を吉川に任せ、勝利した場合の準々決勝以降は吉川以外の投手による継投を想定していたという。

【次ページ】　「変えにくい部分が正直ありました」