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甲子園でスカウト断言「ドラ1競合です」横浜・阿部葉太でも各校2年生エースでもなく…最速158キロ石垣元気“わずか28球”が超プラス材料なワケ
posted2025/08/29 17:02
コンディション面もあって最後の夏の甲子園を「28球」で終えた健大高崎・石垣元気。ただプロスカウト視点で見るとプラス材料だという
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間淳Jun Aida
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JIJI PRESS
横浜・阿部、京都国際・西村の進学に嘆き
決勝戦は4万5600人の観客が訪れるなど、今夏の甲子園は連日、外野席を含めて当日券が販売されないほどスタンドが埋まった。ただ、例年よりも空席が目立つ一角があった。プロ野球のスカウト陣が集まるエリアだ。スカウトの1人が本音を明かす。
「今年の夏は甲子園で過ごす時間が短かったです。その分、大学野球を視察する時間に使いました。他の球団も傾向は同じだと思います」
大学生が“大豊作”と言われた昨秋のドラフト会議に続き、今秋も1位、2位の候補は大学生が中心になるとみられている。今年の高校3年生が“不作”というわけではないが、横浜の主将・阿部葉太や京都国際のエース・西村一毅ら上位候補が早々に大学進学を明言している影響は大きい。
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スカウトはこう嘆く。
「阿部選手はドラフト1位で指名されてもおかしくない素材です。大谷翔平選手とそっくりな打ち方も話題性があり、スター性を感じさせる雰囲気も持っています。西村投手は伸びのある質の高いストレートに、ストレートと同じ腕の振りで投じるチェンジアップも一級品です。体重移動が上手く、力を無駄なくボールに伝えることができています。プロで活躍するイメージが膨らむ選手なので、プロのスカウトからすると進学は非常に残念です」
末吉、織田だけでない“楽しみな2年生有望株”
また、今夏の甲子園では3年生以上に2年生の選手が目を引いたという。
投手では沖縄尚学・末吉良丞、横浜・織田翔希、聖隷クリストファー・高部陸と3人の名前を挙げた。
「末吉投手はストライクゾーンで勝負できるストレートが最大の魅力です。スタミナもありますし、コントロールも大幅に改善されて安定していました。織田投手は腕をムチのようにしならせ、ストレートに伸びがあります。力いっぱい投げなくても球速を出せるようになりましたし、下半身を強化すればスピードはさらに上がるはずです。高部投手もストレートに伸びがあり、内外角に投げ分けるコントロールの良さも光りました。カットボールも自在に操り、大きく崩れない安心感がありました」
打者で最も高く評価したのは、日大三・田中諒だった。


