甲子園の風BACK NUMBER
「甲子園より山梨、京都の方が」酷暑だが…34度台気温の対策は「採尿検査、処方された漢方」「練習はTシャツ+ハーパン」各校に聞いた実態
posted2025/08/29 17:00
最高気温30度超どころか酷暑日も珍しくなくなった期間の夏の甲子園、各チームはどんな対策をしていたのか
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
“34度台の最高気温”もあった中で
聖地には魔物がいると言われる。夏の甲子園では、もう1つの見えない敵と戦わなければならない。それは、暑さだ。この難敵は年々、強烈さを増している。10年前、20年前とは比較にならないほどの酷暑は近年、議論を巻き起こしている。
1日4試合の開催もあった8月15日から21日にかけて、甲子園に近い兵庫県西宮市(西宮市役所)での最高気温は以下の通りで、いわゆる35度超の「猛暑日」に近い気温となる日もあった。
15日:34.1度
16日:32.9度
17日:32.8度
19日:33.0度
21日:34.0度
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「夏の甲子園は開催方法を見直した方が良いのではないか」
開催時期を最も暑くなる8月からずらす案や会場をドーム球場にする案などが、高校野球ファンを中心に提案されている。真夏に屋外で試合をする競技は野球に限らない。屋内であっても風の影響を避ける競技では、サウナ状態でプレーせざるを得ないケースも少なくない。それでも、これほどまでに甲子園ばかり物議を醸すのは注目度の高さを表していると言える。
実際に甲子園でプレーする選手たちに話を聞くと、“外野”が騒ぐほど暑さは気にならないという。攻守が分かれている野球では攻撃中、打者や走者を除いて屋根のあるベンチで過ごす。氷嚢で体を冷やすことも、水分を補給することも自由にできる。学校のグラウンドで練習する普段の練習の方が、よほど暑さはきついと選手たちは口をそろえる。
採尿…水分量を数値化して感覚だけに頼らない
そうは言っても、甲子園出場校は大会期間中を含めて、熱中症対策を徹底した。こまめな水分や塩分の補給、首の後ろや手のひらの冷却といった一般的な方法はもちろん、各校はグラウンド内外で策を講じる。
甲子園を地元とする兵庫・東洋大姫路は今夏の兵庫大会前から、脱水状態を調べる検査を取り入れた。練習や食事のタイミングなどに採尿し、専用の機械で計測すると体内の水分量が数値化され、脱水の危険があるか分かるという。

