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「いつでも監督をやめていい」「記者たちにモテる」沖縄尚学と日大三…2人の甲子園監督の“決定的な共通点”「食事中とかも、けっこうタメ口なんで」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/25 11:05
沖縄尚学の比嘉公也監督、日大三の三木有造監督。2人の発言録から「勝てる監督の条件」をひもとく
「甲子園は選手に連れてきてもらうところなんで。だから、いつも『俺が連れて行く』なんて言えないよ、って言ってます。『連れてってくれ』とは言いますけど」
比嘉も三木も原則的には選手に任せる。しかし、任せっぱなしにはしない。その最終ラインが「ダメなものはダメ」という言葉なのだと思う。
発言録)上下関係について
また、2人とも昨今の上下関係についてこんな話をしていた。比嘉が言う。
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「僕らの時代とは真逆ですね。食事中とかも、けっこうため口なんで。大丈夫なのかなって思うこともあります。度が過ぎたら、たぶん注意すると思うんですけど、仲がいいぶんにはいいのかなと思いますね」
三木も先輩・後輩がため口で話していたり、あだ名で呼び合っている光景を笑いながら眺めている。
「そんな口の利き方をしていいのって、こっちが心配になっちゃうことはありますけどね。でも、うちは1年生がいちばんのんびりしてますから。それくらいでいいのかなって思いますけどね」
2人とも、ともすれば選手に軽く見られかねないほどの自由主義者だが、怒ったら怖いのだろうなというのは容易に想像がついた。その空気感を醸成しているのは、最終ラインだけは絶対に踏み外させないという指導者としての責任感であり、覚悟なのだと思う。
発言録)監督を辞めたいと思う?
2人の征服欲の薄さは、こんな言葉にも表れていた。比嘉は監督を辞めたいと思ったことはあるかと聞かれ、からりとした調子で言った。
「いつでも、正直、そんな感じです。監督っていうか、どっちかっていうとピッチングコーチ的な仕事だけしていたいなっていう感じなので」
2年前に名監督の小倉全由から監督を継いだ三木は「プレッシャーはまったくありません」と言い切る。その理由として、こう語るのだ。

