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野球クロスロードBACK NUMBER
14年ぶり甲子園にカムバックの“やくざ監督”…広陵問題で「陰から文句を言うのは卑怯」発言の真意は? 73歳の最年長指揮官が「野球は素人」と語るワケ
posted2025/08/25 11:06
14年ぶりに甲子園に戻ってきた島根・開星高の野々村直通監督。73歳になってもなお、舌鋒の鋭さは変わっていなかった
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
「うちはぶっちぎりで勝つか、ボコボコにされて負けるかなんでね」
野々村直通は自身が率いる開星のカラーについて、はっきりと白黒をつけた。
夏の島根大会だけを見れば、確かにそうだ。
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26-2と大勝した松江南との決勝戦を含め5試合中3試合が2桁得点。立正大淞南との準々決勝で6-3、大社との準決勝では2-1と接戦をものにしてきた粘り強さもあったが、ぶっちぎりで勝ってきた印象が強い。
その開星は、甲子園初戦で大接戦を演じた。
宮崎商との試合は一進一退の攻防。ランナー一、二塁から始まるタイブレークに突入した延長10回裏に、サヨナラ勝ちを収めた。
14年ぶりの甲子園…73歳になった「やくざ監督」
14年ぶりに甲子園で指揮を執った野々村にとって、このシステムによる戦いは初めての体験だったという。
機嫌はいいが、舌鋒は鋭い。
「暑さの対策もあるんだろうけど、9回でタイブレークというのはあんまり好きじゃない。練習試合でも『タイブレークをやりましょう』と言う監督もいるけど、『やめましょう。引き分けにしましょう』と。今の『7回制』の議論もそうだけどさ、もう少し考えて。延長戦も12回くらいまでは戦ったほうがいい」
開星の試合があった大会2日目は「午前の部」と「夕方の部」の2部制が採用されていた。前者の第2試合は、13時30分を回ると次のイニングには進まず、勝敗が決まらなかった場合は継続試合として、日程を再調整される予定となっていた。
まさに開星の試合はそのタイムリミットまでギリギリだったわけだが、野々村は「10回の攻撃で点が入らなかったらそうだったの?!」と、その事実を知らずに戦っていた。

