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沖縄尚学・末吉良丞に中学時代の恩師が“あえての苦言”「甲子園で悪いクセが…」「新垣有絃が見事だった」あの大投手・江夏豊にも聞いた“本音の末吉評” 

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/08/22 17:41

沖縄尚学・末吉良丞に中学時代の恩師が“あえての苦言”「甲子園で悪いクセが…」「新垣有絃が見事だった」あの大投手・江夏豊にも聞いた“本音の末吉評”<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

左の末吉良丞と右の新垣有絃の「二枚看板」を擁して決勝まで勝ち進んだ沖縄尚学。興南以来15年ぶりとなる沖縄県勢の頂点なるか

「新垣投手はやっぱり度胸があるというか、上手くタイミングを外すというか、初球から変化球などの緩いボールをよく投げられましたよね。緩急も効いていて、8回のストレートなんか威力のあるボールが来てましたから。最終回、ツーアウト一塁から当たっている4番バッター(横山悠)には厳しいコースを突いて一・二塁にしてもいいかなと思ったんですけど、初球、タイミングずらしたスライダーをレフト前に運ばれた。でもストレートだったら逆方向に持っていかれて同点に追いつかれたかもしれない。最後のキャッチーフライなんかも完全にタイミングを外してますね。あのピッチングは見事じゃないですか」

 沖縄尚学は末吉だけじゃない。そんな思いが伝わってくるような新垣のエース然としたマウンドさばきは、安心して見ていられた。

 もう先のことは考えなくていい。泣いても笑っても次が最後だ。大浜は教え子の末吉に祈りを託すように言った。

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「ベンチで喜んでいた姿が中継で見えましたけど、今日は本人にとって不本意だったと思います。自分ひとりで抑えるんじゃなく、苦しいときこそバックがいることを思い出して。しっかりストライクゾーンのコースで勝負していけばそう簡単に打たれるボールじゃないので、まずは力まずに。ボールになる低目のスライダーは置きにいかず、しっかりと腕を振り切って投げれば大丈夫だと思います。ピッチャーって調子が悪くても、それなりに投げないといけないので。野球が楽しいからやっているという原点を良丞には忘れないでもらって、あと1試合、悔いなく投げてほしい」

あの江夏豊も両投手を称賛「江夏二世? まだ早い」

 そして毎年高校野球の観戦を欠かさない、あの不世出の大投手・江夏豊にも末吉のことを尋ねてみた。

「なんと言っても末吉君のマウンド度胸が素晴らしい。球のスピード、スライダーのキレもそうだけど、投手にとって一番必要な闘争心を常に秘めている。江夏二世? 高校2年の彼を評価するのはまだ早い。でも楽しみであることは確かだよ。それと、背番号10番の新垣くんの落差のあるスライダー、マウンド度胸にも感心する」

 基本に忠実に取り組むことで、堅守をベースとした粘り強い野球ができている沖縄尚学。頂点はもう手に届くところまで来ている。

 甲子園の舞台で、末吉良丞、新垣有絃の左右の“スーパー2年生”による二枚看板が確立された。

 あとは、明朝10時のプレイボールを静かに待つだけだ。

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