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甲子園の風BACK NUMBER
沖縄尚学・末吉良丞に中学時代の恩師が“あえての苦言”「甲子園で悪いクセが…」「新垣有絃が見事だった」あの大投手・江夏豊にも聞いた“本音の末吉評”
posted2025/08/22 17:41
左の末吉良丞と右の新垣有絃の「二枚看板」を擁して決勝まで勝ち進んだ沖縄尚学。興南以来15年ぶりとなる沖縄県勢の頂点なるか
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph by
Hideki Sugiyama
「ランナーズハイじゃないけど、疲れを感じない」
2010年に甲子園春夏連覇を達成した興南のエース・島袋洋奨は、自身の経験も踏まえつつ、準決勝まで512球を投げている末吉良丞の疲労度についてこう語る。
「連投による球数が気になるのは当然ですが、僕の頃も連投ありきで甲子園に行っていますし、その準備しかしてなかったです。沖縄尚学さんのチーム事情のことは把握できませんので、その上での発言にはなりますが、甲子園で戦う以上それだけの準備ができているはずですし、やっぱり本人の意思も多少加味している部分はあるのではないかなと思います」
島袋の夏の甲子園を振り返ってみたい。1回戦の鳴門戦では116球、中4日の2回戦・明徳義塾戦で126球、中1日の3回戦・仙台育英戦で141球、連投で臨んだ準々決勝の聖光学院戦で121球、1日空けた準決勝・報徳学園戦で159球、さらに再び連投で決勝の東海大相模戦に臨み、120球を投げた。そのうえで、優勝を果たしたのだ。1週間で667球、大会を通じて783球を投げ、現在の球数制限(1週間で500球以内)をはるかに超えている。まさに桁外れの異常な数字だ。
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「投げ終わった翌日に肩が張っているなとかはありましたけど、投球に関して何か変化があるかっていったら、そんなに感じませんでした。1日の休養で戻るのかと言われても、正直あんまり覚えてないです。でも戻るか戻らないかというより、ずっと気を張っていたこともあってか、たぶんいろんな意味でランナーズハイじゃないですけど、体と心がいい状態のまま保っているので、そこまで疲れを感じてはいませんでした」
投球中は、気力、集中力がマックス状態でアドレナリンも分泌しているためさほど疲労を感じず、試合が終わっても「今日の試合、疲れたな」とも思わないという。甲子園は選ばれし者に何か神秘的な力を与えてくれるのかもしれないが、それに胡座をかいてはいけないのは周知のごとしだ。

