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甲子園の風BACK NUMBER
沖縄尚学・末吉良丞「512球」の疲労度は? 県大会で対戦した興南・島袋洋奨コーチが語る“本当の末吉”「149kmを連発」「表情ひとつ変えず…まさにエース」
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/22 17:40
ここまで5試合に登板し、計512球を投じている沖縄尚学の2年生エース・末吉良丞
“琉球トルネード”島袋洋奨が語る「末吉の凄さ」
沖縄県出身のサウスポーといえば、プロで活躍した仲田幸司(元阪神、ロッテ)や宮城大弥(オリックス)がいるが、高校時代のインパクトでは2010年に春夏連覇を成し遂げた興南のエース・島袋洋奨(元ソフトバンク)がまず思い浮かぶ。
現在、母校の興南高校で野球部の投手コーチを務めている島袋は、ライバル校のエースである末吉をこう評価する。
「県大会の準決勝で沖縄尚学と対戦し、6回から末吉君が出たんですけど、球場のガンで150kmを出し、149kmを連発してました。やっぱり真っすぐが力強いのはもちろん、カウントが悪いときに変化球でストライクが取れるのが強み。特にスライダーが右バッターの真ん中から内側に落ちてきて、打ってもファウルになる軌道で曲がってきます。そのコースに高確率で投げられていたので、いいピッチャーだなとあらためて思いました。あれだけのスピードボールを持っているうえにスライダーの切れもいいですからね」
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困ったときにストライクが取れる変化球があるのは投手にとって大きな強みになる。好調時の末吉は高目に浮く球や抜け球も少なく、ストライクから膝下に落ちてくるスライダーが面白いように決まる。
「僕も現役時代、マウンド上での表情は意識していましたが、彼はいろんな意味でもっと凄い。メディアでも言われているように表情ひとつ変えずに淡々と投げて、自分の役割を果たしている姿は相手にとって不気味だし、チームにも大きな力を与えています。まさにエースだなっていうのは見ていて感じますね」
甲子園でも好投を続けているものの、県大会準決勝の興南戦で投げた末吉こそが“本調子”だっただけに、島袋の脳裏にはしっかりとその脅威が刻み込まれている。
「僕なんかは、スライダーも投げてはいたんですけども変化球にあまり自信なかったのでストレート主体でした。繰り返しになりますが、末吉君はあれだけのスピードボールを持っていて、かつ、あれだけの変化球も投げられる。ましてや2年生というところが凄い」
一方で決勝に向けて気になるのが、ここまで5試合32イニング3分の2、計512球を投げている末吉の状態だ。2010年の夏、6試合で783球を投げた“琉球トルネード”島袋は、その疲労度をどう見ているのだろうか。
<続く>

