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甲子園の風BACK NUMBER
甲子園で“2つの誤審疑惑”「白線の上にボールが落ちた…」横浜vs県岐阜商、波乱のウラ側…密着記者が聞いた、県岐阜商の証言「監督に怒られるので…」
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/20 18:01
横浜vs県岐阜商は延長11回まで続き、7-8の大熱戦。際どいプレーが続いた
「バントで送って1死三塁にして、この回で終わらせたいっていう気持ちが出てしまいました」
横山の送りバントは失敗に終わる。それでも、8番・渡辺璃海のセンター前安打で再び1死一、三塁のチャンスを迎える。9番投手・柴田蒼亮に代えて1年生の丹羽駿太が代打に送られた。
誤審疑惑「白線の上にボールが落ちた」
「甲子園では一度も試合に出られてなかったんですけど、ベンチでタイミングが取れていた感覚はありました」
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丹羽が初球を捉えた。打球はライトへ飛ぶ。横浜のライトがライン際へ飛びつく。ボールを捕れば犠牲フライでサヨナラ勝ち。ボールがフェアゾーンに落ちてもサヨナラ勝ち。フェアかファウルか。バックネット裏2階の記者席からすぐには判断がつかなかった。県岐阜商の応援団でぎっしり埋められた一塁側アルプスから歓声が沸いた。サヨナラ勝ちかと思われた。が、判定はファウルだった。
打った丹羽は一塁ベース付近でボールの行方を見た。
「(フェアゾーンに)入ったように見えました。白線の上にボールが落ちたのが見えたので」
ただ、と丹羽は続けた。
「その次の球を見送ってしまった。追い込まれてノーステップで対応しようと思ったんですけど、こすっちゃってファウルフライ。めっちゃ後悔してます」
届きそうで勝利に届かない。丹羽が凡退して戻ったベンチの雰囲気を思い出す。
「判定がどうとか言う人はいなかったです。審判の判定は絶対。監督にそう言われていたので。練習試合でもセルフジャッジすると怒られます。判定はそれくらい絶対的なもの。だからあのあとに打てなかったことのほうが……」
「人生で最高の勝利です」
県岐阜商がチャンスを迎えた場面で、横浜はタイムを多用した。サードの内山が証言する。
「相手が『間を作っている』というのは僕らも分かってるので。絶対に集中を切らすな、って声が飛び交ってました」


