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甲子園の風BACK NUMBER
甲子園で“2つの誤審疑惑”「白線の上にボールが落ちた…」横浜vs県岐阜商、波乱のウラ側…密着記者が聞いた、県岐阜商の証言「監督に怒られるので…」
posted2025/08/20 18:01
横浜vs県岐阜商は延長11回まで続き、7-8の大熱戦。際どいプレーが続いた
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Hideki Sugiyama
“大番狂わせ”だった。タレント軍団、優勝候補本命の横浜を公立校の県岐阜商が下す。そのウラ側で何があったのか? 県岐阜商に密着した記者がレポートする。【全2回の後編/前編も公開中】
◆◆◆
さすがに厳しい。県岐阜商業は負ける――そう思った瞬間が3度あった。
6回表に3点を返され、終盤8回に横浜に追いつかれたとき。10回表にタイブレークで3点を勝ち越されたとき。そして10回裏にサヨナラ安打かと思われたライトへの飛球がファウルになったとき。優勝候補を相手に善戦むなしく……数多ある好ゲームの一つになるだろうと思われた。
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それぞれのシーンについて監督、選手、部長に聞いた。彼らが証言する内幕はこうだった。
「足がついているように見えた」ダブルプレー未遂
6回表、1死満塁。横浜の5番打者・小野舜友のセカンドゴロはダブルプレーが成立するかに思われたが、県岐阜商のファーストの足がベースから離れたとしてセーフの判定が下される。その後、ファーストが誰もいないホームに送球してしまい、2点を失った。
「あれ……とは思いましたよ」
県岐阜商のサード・内山元太は言った。
「一塁ベースに足がついているように見えました」
セカンドの駒瀬陽尊も、ベンチにいた丹羽駿太も口を揃えた。「たぶん踏んでいたと思います」。そして3人とも、ほぼ同じニュアンスの発言を続けた。
「まあでも、それを言ってしまうとキリがないので」
県岐阜商の最たる勝因。それは崩れそうで崩れないチームの耐性にあった。とにかく耐えた。引きずりそうなプレーをすぐに忘れることができた。それも何度も、である。
8回表。4-4の同点に追いつかれる。そこで部長の上畑将は選手たちにこんな話をした。


