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広陵への言及は「一切しないようにしよう」“静寂の甲子園”で公開練習→アカペラの校歌斉唱…不戦勝で3回戦へ 津田学園の胸中は「リセットしたかった」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2025/08/15 11:05

広陵への言及は「一切しないようにしよう」“静寂の甲子園”で公開練習→アカペラの校歌斉唱…不戦勝で3回戦へ 津田学園の胸中は「リセットしたかった」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

広陵の出場辞退により2回戦が不戦勝となった三重・津田学園。特例で設けられた甲子園練習の最後には、全員で校歌を斉唱する場面も

 そこからピッチャーを入れたノックを10分ほど行ってから、シートバッティングに移る。フィールドを守る選手の声、打席でボールを打つバットの金属音。そして、捕球する音までもが反響する。静寂の甲子園で大半の時間を費やした実戦形式の練習中は、そんな光景が広がっていた。

 ちょうど17時を回り、練習が終わりを告げたその時、津田学園のメンバーがホームベース付近に整列する。前奏はない。「せーの!」という合図で全員が調子を整え、アカペラで校歌を斉唱したのである。

 不戦勝とはいえ勝利した津田学園にとって、大事な“儀式”でもあった。

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 監督の佐川竜朗が明かす。

「これまで甲子園に来て1回戦を勝てても、2回戦を突破できたことがなかったので。2回目の校歌を歌ってからでないと、3回戦に臨んでいく気持ちになれないと思いました」

 無観客の甲子園であっても校歌を歌うのは、「切り替え」の意味も込められていた――そう気づかされたのは、報道陣から広陵に関する質問が飛んだ時だった。

監督「本当にリセットしたかった」の意味

 少し口調に緊張が含まれているようにも思えたが、佐川は淡々と言葉を並べた。

「(不戦勝となり)『校歌を2回、歌えなかったね』っていうことだったので。本当にリセットしたかったので……」

 津田学園にとって、実はこれが“2回目”のリセットだったはずである。

<次回へつづく>

#2に続く
「なってしまったことは仕方ないので…」甲子園“広陵辞退で不戦勝”の津田学園…選手が語った胸の内は? 次戦の優勝候補戦は「名前負けせずに」

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