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「握手を拒否する選手はうちにはいない」のに…“握手拒否”がトレンドに? 広陵高「甲子園辞退問題」で感じたSNS時代の“ファクト”の重要さ
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2025/08/11 07:31
広島・広陵高の甲子園出場辞退を受け、会見する寶馨大会副会長(左)と角田克大会会長
甲子園が開幕してからの出場辞退となると、夏は2021年に宮崎商と東北学院。春は22年の広島商があるが、いずれも選手が新型コロナウイルスに感染したことによる苦渋の決断であり、特殊な事例でもあった。
過去には05年夏の明徳義塾が大会直前に出場を取りやめたことがあるが、甲子園が始まってから不祥事により出場を辞退することとなったのは、広陵が初めてのケースとなる。
高野連会長は「対処しようがなかった」
そのことによる混乱。審議の妥当性について問われた大会副会長の寶は、言葉を飾ることなく自らの見解を語った。
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「1月の事象について、4月までの間にそれなりに裁定はしていました。その後、第二、第三の事柄が浮上してきたものですから、しかも試合当日あたりに。報告書に上がっていなかったようなことについては、対処しようがなかったのが正直なところです」
旭川志峯との初戦があった8月7日。SNS上で本件とは別の事案が浮上したことで、被害を訴えている元野球部員の保護者からの意向により、広陵高校が第三者委員会を設置し、調査中であることが判明した。
寶が「対処しようがなかった」と話したことは、言い訳ではないだろう。
今の時代、誰もがわかっている。それほど、SNSの拡散力の速さは尋常でない。
ひとつのネタが挙がる。興味を持つ者が多ければ多いほど、真偽を確かめる間もなく、まるで真実であるかのようにインターネットの海に情報が次々と投げ込まれていく。

