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野球クロスロードBACK NUMBER
「握手を拒否する選手はうちにはいない」のに…“握手拒否”がトレンドに? 広陵高「甲子園辞退問題」で感じたSNS時代の“ファクト”の重要さ
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2025/08/11 07:31
広島・広陵高の甲子園出場辞退を受け、会見する寶馨大会副会長(左)と角田克大会会長
SNSで話題「握手拒否」は本当にあった?
旭川志峯との試合後の例がわかりやすい。
ホームベース上に向かい合って整列し、挨拶をする。両チームの選手たちが歩み寄り握手や抱擁を交わすなか、旭川志峯の数人がそのままベンチへと引き上げたことで「握手を拒否した」とSNS上で話題となった。
しかし、試合後の取材で旭川志峯の山本博幸監督はこのように否定している。
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「少し早く列から離れることは普段の試合でもよくあることで、握手を拒否するような選手はうちにはいません」
山本自身が「選手の気持ちを100%理解しているのか?」と追求されれば、そうではないと答えるかもしれない。だが、少なくともSNSの住人よりは、はるかに把握している。
真偽不明の火種でも大火事となる。これが現代社会のSNSの怖さである。
大会運営サイドは「学生野球憲章に則って」と説明するため対応が鈍いと思われがちだが、一つひとつの事案への対処は怠っていない。だからこそ、SNSの拡散力についていけなかった側面もあるが、寶はそこも認めている。
「対戦校の旭川志峯にご迷惑をおかけしたことになりますし、県大会の段階でも対戦校が広陵高校に敗退していったわけですから。結果として残念なことになりましたので、こういうことが二度と起こらないように」

