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「7回に突然、肩に激痛が…」山梨学院“夏の甲子園初勝利”のヒーローが暗転「命にかえても、と投げ続け」悲劇の“高校ナンバーワン左腕”が歩んだ道
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/08/12 11:03
「高校ナンバーワン左腕」と注目を浴びた山梨学院大附の伊藤彰投手。3年夏の甲子園では初戦の熊本工戦でリリーフ登板したが……。
甲子園を前に左肩は悲鳴をあげ…
県大会の登板5試合で43イニングを投げ61三振を奪った左腕は、チームを2年連続の甲子園出場へと導いた。しかし、無理を押した代償は大きかった。晴れ舞台を前に、左肩は悲鳴をあげていた。
「県大会の決勝後は、ほぼピッチングはしていませんでした。直前の甲子園練習でブルペンで投げたのは覚えていますが、炎症を抑えて痛みを少しでもやわらげるための時間を過ごしていたと思います」
いわばぶっつけ本番で迎えた甲子園。熊本工との1回戦は先発を回避して代打からレフトの守りにつき、1−1で迎えた4回からリリーフ登板した。初回は無失点に抑えたが、2イニング目につかまった。制球が定まらず、ホームランを含む計6失点。肩の痛みからカーブがほとんど投げられず、直球ばかりになったところを狙い打ちされた。4対12。夢舞台の初戦で散った。
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「僅差の試合だったのに1人で試合を壊してしまった。本当に申し訳ないという思いだけが残っています。今思い返すと、痛みとかそういうことだけではなくて自分に至らなさがあったと思います。
対戦相手の熊本工は、結果的に決勝まで進んで松山商と対戦するあの“奇跡のバックホーム”の相手チームです。やはり強かったし、すごく対戦相手を研究されていた。狙い球を絞り込まれていたようなところもあって、もう少し何か対応できていればとも思う。そういう意味の後悔は今でもあります」 〈つづく〉

