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「1ラウンドから行こうか…」中谷潤人が明かした西田凌佑との王座統一戦“サプライズ奇襲”の真相「正直言うと、最後の最後まで不安があった」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/08/20 11:04
WBC・IBF世界バンタム級統一王者となった中谷潤人が、西田凌佑との統一王座戦「激闘の舞台裏」を明かした
「筋量を落とさない減量なので、代謝を落とさないまま(体重を)減らしていくことができました。栄養をしっかり摂取しながら減らせたこともとても良かった。計量前日には(リミットの)アンダーに入っていましたから」
量と質、その両方をマックスに求めたトレーニング、そして理想的だった減量。アクシデントと言えば左手首を少し痛めたくらいで、影響はまったくないと言えた。あとはやったことのない1ラウンドからガンガン行く作戦を実行に移すだけだ。
「正直言うと、最後まで不安はあった」
「きつい練習を積んだうえで、これだったらやれるという自信をつけられました。ただ、1ラウンドから行ったら行ったで、西田選手のうまさでいなされる要素だってありました。
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初めての戦い方になるし、(行くとなれば)アタックするときに力みは出てくるはず。そういったところでどういったボクシングができるのか、どういうものが出てくるか自分自身も分からない。行く態勢を12ラウンド出していけるようにしたとはいえ、試合になるとどうなのかも分からない。正直言うと、最後の最後まで不安はあったんです。中途半端じゃ、絶対ダメ。行くなら、行き切らなきゃいけない。ルディを信じようと」
最後まで不安と向き合っていた。相手は、実力と心意気を認めるIBFのチャンピオンだ。テクニック、ディフェンスに長け、接近戦にも強い。中谷がオールラウンダーなら、西田もまたその範疇に入る。対応されたら、どうするか――。
行くなら、行き切れ。
やるなら、やり切れ。
満員の有明コロシアム、リングでは先に西田が待っていた。
入場曲、長渕剛の「神風特攻隊」が鳴り響く。
中谷潤人の目がギラついていた。


