ボクシングPRESSBACK NUMBER
「1ラウンドから行こうか…」中谷潤人が明かした西田凌佑との王座統一戦“サプライズ奇襲”の真相「正直言うと、最後の最後まで不安があった」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/08/20 11:04
WBC・IBF世界バンタム級統一王者となった中谷潤人が、西田凌佑との統一王座戦「激闘の舞台裏」を明かした
1ラウンドだけ行くのではなく、1ラウンドから行く。つまり全開モードを12ラウンド続けられる体力と意志がなければ失速して捕まってしまいかねない。前回、ダビド・クエジャル戦の前は1日16ラウンド連続のスパーリングだったが、今回は一気に4ラウンド増えて20ラウンド連続になった。それもルディから「GO」の指令が出れば、そのラウンドは全力を出し切らなければならない。全力タイムがどこでやって来るかも分からない。
「20ラウンドスパーを結構、何回もやるんですよ。前回以上に12ラウンドが短いなって思うようになりましたね(笑)」
井上尚弥戦の視察「最初は行こうかなと」
ロサンゼルス合宿中に、4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥が聖地ラスベガスでラモン・カルデナスを相手に迎える防衛戦があった。飛行機で1時間ほどの距離。来春東京ドームでのメガファイトが浮上しているだけに視察することも考えた。
ADVERTISEMENT
「最初は行こうかなとも思いましたよ。でも次の日、午前からトレーニングが待っているし、翌日に移動してからやるというのは自分としてもよろしくない。自分は何のために(アメリカに)いるのかと言ったら、次の試合のために来ている。そこは間違っちゃいけないので」
中谷はフライ級のチャンピオン時代から統一戦を希望してきたが、これまで一度も実現しなかった。名乗りを上げたのが西田だった。指名試合を義務づけられながら、王座を返上する覚悟まで示して中谷戦にこだわった西田に心から感謝していた。
「西田選手は強い選手です。甘くなんか見ていないし、だからすべてを懸けて臨まなければなりませんでした。(対戦が決まった)発表会見のときから、気持ちの強さというのも感じていて、簡単に行く試合にはきっとならない、と思っていましたね」
理想的だった減量
ハードワークを超えたハードワーク。オーバートレーニングにならないギリギリを攻めた。バンタム級に上げても体のフレームが大きいため、段々と減量はきつくなる。それでもトレーニングがハードな分、体重もよく落ちた。合宿中、管理栄養士に同行してもらったことも大きかった。トレーニングメニューを見てもらったうえで、食事の量を増やすなどコントロールしてもらった。好物の甘いものもOKで、好きなものを自由に食べていい「チートデー」も設けてもらった。

