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甲子園の風BACK NUMBER
なぜ最強世代の浦和学院は“公立校に敗れた”のか? 34歳監督が語る「イヤな予感した」魔の5回裏に“守備タイム2回”…相手選手は「99%負ける」
text by

樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byYuki Kashimoto
posted2025/07/30 11:06
すでに新チームが指導している浦和学院野球部
「全国から有望な子たちが集まっているのに……」。森監督のその言葉に甘えて、こうも聞いてみた。「選手を集めてるのに」と言われることについて率直にどう思うのか。
「そこのプレッシャーは、僕は苦じゃないんです。勝たなきゃいけない、その通りですと。ただ預けていただいた中学野球の指導者の方々に対しての申し訳なさはあります。恩返ししたい気持ちが強いので。それにしても、いいチームでした。勝たせてやりたかったです……」
34歳監督、這い上がれるか?
思えば2年前のインタビューで「高校野球にのめり込みすぎない指導者になりたい」といったニュアンスの発言をしていた。最後にそれについて聞くと、苦笑いから一転、真剣な表情でこう返した。
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「やっぱり子どもたちの真剣さを感じるので。高校野球の世界でやっていくには、高校生と同じようにその情熱を我々が注がないといけないので。だから西田と同じくらい、悔しさが湧いているんだと思います」
「言い訳を聞きに来ました」で始まった取材は、森監督の覚悟の顔を見る結末となった。34歳がもがき苦しみながら目指す「NEW浦和学院」。いまは完成までの長い道のりの途中だ。「ユニホームを着て、子どもたちと朝から練習し、心が救われています」
最後には、迷いの顔は消えていた。常勝軍団をそばで支えていた三浦貴コーチが2年前に他界。2013年センバツ優勝のスタッフも次のステージへ移っている。父の残した偉業に簡単に甘えたくない。この敗戦が覚悟を試しているのかもしれない。34歳監督、この敗退から這い上がれるか。

