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日本ハムとソフトバンク“超激戦”のウラで…じつは「慶應ボーイ」柳町達が日本ハム・レイエスから“助言”を受けていた「だから強い」ライバル関係
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/29 06:02
交流戦でMVP獲得も、直後に成績降下。悩む柳町達を救ったのはライバル球団の主砲だった
「もう心が折れすぎたというか、大変だったことを言い出せばキリがない」
プロ入り後の苦悩…ライバルが強すぎた
即戦力と意気込んで入団するも最初の2年間はほぼ二軍暮らし。それでも2年目にはウエスタン・リーグで最多安打を獲得するなど着実に力をつけ、3年目の2022年には一軍で107試合に出場して364打席に立つ。開幕直後に主力で当時左翼を守っていた栗原陵矢が左膝を大怪我して長期離脱となり、その穴を埋めたのだ。364打席で打率.277、出塁率.357と及第点の成績を挙げた。
まさにレギュラーを掴みかけた。しかし、そんな柳町の前に現れたのが球界を代表する打者である近藤健介だった。FA権を行使して2023年からソフトバンク入り。当然ながら、外野のポジションが1つ埋まることになる。外野手はほかに柳田悠岐がいて、当時の藤本博史監督は上林誠知を買っていた。揃いもそろって左打ち。柳町は開幕一軍入りを果たすも、開幕戦はベンチ外となり、翌日にはチーム事情から登録を抹消される憂き目にあった。
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それでもなお、柳町は這い上がった。外国人打者の不振で柳田か近藤のDHが増え、空いたポジションを奪い取った。前年を上回る116試合に出場し、375打席に立った。打率は.257と低調だったが、出塁率は.375と前年以上の数字を残した。
「正直、きついと思いました。でも、心を折られながらも乗り越えられた。自分の中に立ち上がる能力がついたのか分からないけど、自信にはつながっていると思います」
今季二軍スタートも…交流戦で覚醒
今季だって開幕は二軍スタートだった。開幕スタメンで外野の一角を勝ちとったのは慶大の2コ後輩の正木智也だった。ただ、近藤が開幕3連戦を終えたばかりのタイミングで腰の手術のために離脱したことで、柳町はさっそく一軍に呼ばれた。
はじめは苦労したが、4月23日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)の試合前練習で「タイミングの取り方が良くなった」と実感したところで、第1打席に曽谷龍平から今季第1号ホームランを放ったのをきっかけに状態が急浮上。まだ打席数が少なかったこともあり、同26日には打率3割台に乗せるとそのままキープした。

