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日本ハムとソフトバンク“超激戦”のウラで…じつは「慶應ボーイ」柳町達が日本ハム・レイエスから“助言”を受けていた「だから強い」ライバル関係
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/29 06:02
交流戦でMVP獲得も、直後に成績降下。悩む柳町達を救ったのはライバル球団の主砲だった
迎えた交流戦でもヒットを量産。交流戦は18試合すべてに3番打者として出場し、ともに12球団トップとなる打率.397、出塁率.474をマーク。チームの6年ぶり交流戦優勝の原動力となった。6月8日のヤクルト戦(神宮)ではプロ野球人生で初めて規定打席に到達。この日時点の打率が.356でパ・リーグの断トツ首位打者に躍り出たのだった。
小久保監督の助言、その内容
しかし、交流戦終了と同時にいきなり急降下したのだった。
「交流戦では打つべきボールと打ってはいけないボールの見極めができていたのが好結果につながったと思います。ただ、もともと下位を打っていたのが3番になり、『打たなきゃいけない』という思いの中で、しっかりコンタクトしようとした結果、ボールを見ようとし過ぎて、自分本来のミートポイントよりも中に入ってしまってボールに反応できなくなっていたのだと思います」
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大不振にあえぐ中、柳町は小久保裕紀監督にこんな言葉を掛けられたそうだ。
「ひと皮むけるためのチャンス。成長するためには極端の方がいい。どうもがくか。振り返ったときに『有意義な時間やった』となるような時間にしなさい」
「自分自身で乗り越えないといけない。周りの誰かに救いの手を求めてもその場しのぎ。また苦しむことになる」
柳町はとことん向き合う覚悟を決めた。家に帰ってもう少しで2歳になる可愛い愛息と遊んで嫌なことを忘れようともせず「とにかく野球漬け」になった。
日本ハム選手がまさかの助言
そして、柳町に復調のきっかけをくれたのは意外にも、ライバル球団の主砲だった。初出場した先ごろのオールスター。日本ハム・レイエスに「どこに打ったらいい?」と問うと、「やっぱりあなたはレフト方向へのヒットだよ」と返された。第2戦の横浜スタジアムで左中間ツーベースを放った際にパ・リーグのベンチに目をやると、レイエスが身を乗り出してガッツポーズをしているのが見えた。
「野球の楽しさを再確認できた。忘れかけていたものを思い出させてくれました」
ソフトバンクは球宴明けの後半戦スタートを、柳町の活躍もあって連勝を飾った。現在小久保監督就任後最長の8連勝中だ。

