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若き日は甘いマスクも「メガネでタレント性を拒否」「最後の大物独身…45歳で結婚」2度も“名人寸前で苦杯”の名棋士・郷田真隆の素顔とは 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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posted2025/07/29 06:01

若き日は甘いマスクも「メガネでタレント性を拒否」「最後の大物独身…45歳で結婚」2度も“名人寸前で苦杯”の名棋士・郷田真隆の素顔とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2009年の名人戦に臨んだ際の郷田真隆九段

 第6局で将棋史に残る逆転勝ちで3勝3敗とし、最終の第7局に持ち込んだ。そして激闘の末に森内が勝ち、森内十八世名人が誕生した。郷田はわずかに及ばなかった。

 2009年の名人戦は羽生名人に郷田九段が挑戦した。郷田は「2年前は名人を意識するあまり、力んでしまいました。今年はリラックスして臨み、自分の将棋を指すことに徹したいです。《なるもよし、ならぬもよし》という心境です」と語った。

 熊本城、高野山・金剛峯寺、京都・東本願寺と歴史的な舞台で行われたシリーズで、郷田は3勝2敗とリードして、念願の名人獲得まであと1勝と迫った。しかし第6局の終盤で勝機を逃すと、第7局の中盤では互角の形勢と思われたが――郷田は大きな誤算があったようで、寄せ合いに入る前に投了してしまった。同世代対決となった07年と09年の名人戦では、フルセットに及ぶ激闘を繰り広げたが、いずれも敗退した。

プロレス愛40年…「最後の大物独身」45歳で結婚

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 郷田について、盤外のエピソードについても少し紹介する。

 盤上を離れるとスポーツ観戦を趣味としている。特にプロ野球やテニス、とりわけプロレスの観戦歴は40年以上に及ぶ。小学生の頃はハーリー・レイス、ドリー・ファンク・ジュニアの強さに惹かれた。日本人選手では、小橋建太をデビュー戦から引退試合まで見続けた。痛い思いをしながら豪快な技を繰り出す選手たちに感動するという。

 若い頃は女性にかなりモテた郷田だが、同世代の棋士の中では結婚が遅れて「最後の大物独身棋士」と言われた。2016年に45歳のとき、元AKBの大島優子に似た8歳年下の女性と入籍した。知人を交えた食事会で知り合い、互いにプロ野球好きなことから意気投合した。ただ郷田は巨人ファン、夫人は横浜DeNAファンなので、両チームの試合ではモメるという。

 郷田のタイトル獲得は王将、棋聖、王位、棋王と通算6期。順位戦でA級在籍は通算13期。立派な実績を挙げてきた。しかし近年は若い勢力に押されていて、タイトルは9年も遠ざかり、順位戦はB級2組に落ちている。今年の1000勝達成を契機に往年の強さを発揮し、タイトル挑戦や順位戦の昇級を目指してほしい。第1回からつづく〉

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「ジャニーズ系棋士」は“羽生善治世代”奨励会の落ちこぼれだった…「名人になります」郷田真隆が21歳初タイトル→54歳で1000勝するまで

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