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「イケメン扱いに抵抗→メガネ着用」「45歳で8歳下の女性と結婚」気骨の名棋士・郷田真隆が“格調高い”ワケ「名人を逃してもタイトル6期」
posted2025/08/01 06:00
1998年の郷田真隆。若き日のエピソードとともに「格調高い」棋風で将棋ファンに愛される名棋士だ
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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Kyodo News
誰が称したか「格調高い」棋風――羽生善治九段を筆頭とする「羽生世代」の名棋士・郷田真隆九段が、54歳にして金字塔を打ち立てた。端整な顔立ちで知られた若き日の素顔と、偉大な棋士人生の“凝縮版”をお届けする(初出以外は段位など省略)。
“落ちこぼれ”が21歳で初タイトル
7月9日、史上13人目となる公式戦通算1000勝を達成した郷田だが、その将棋人生が決して平坦ではなかったことを田丸昇九段は記している。
「羽生世代」と呼ばれる同期の棋士たちが奨励会入会後にすぐに昇級していったのに対して、郷田は奨励会では9連敗、さらに負けが込んで7級に降級するなど当初は“落ちこぼれ”だった。
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しかし、その後は別人のように勝ち続けて四段昇段を果たして棋士になると、驚異的な活躍を見せる。1992年、21歳で初タイトルの王位を獲得した時には「ファンの方には精神的な励まし、棋士からは多くのアドバイスをいただきました」と感謝した。
同世代の羽生、森内俊之九段と覇を争った名人戦では2期とも“あと1勝”で奪取を逃した。それでも棋聖と王将を各2期、王位と棋王を各1期保持。それも90年代、00年代、10年代のそれぞれでタイトル合計6期を獲得した実績は、長年トップ棋士であり続けた証明と言えるだろう。
若き日の郷田は“イケメン扱い”を良しとせず
若手時代、端整な顔立ちだった郷田は、街を歩けば女性から声をかけられるなど人気が高まっていたそうだ。しかし“イケメン扱い”の評判を良しとせず――あえてメガネをかけ、タレント性を拒否するという気骨を持った人でもある。
田丸ら棋士が、豪打の将棋から感じ取る才能は、流行に左右されない剛直さだという。
