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若き日は甘いマスクも「メガネでタレント性を拒否」「最後の大物独身…45歳で結婚」2度も“名人寸前で苦杯”の名棋士・郷田真隆の素顔とは
posted2025/07/29 06:01
2009年の名人戦に臨んだ際の郷田真隆九段
text by

田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
JIJI PRESS
公式戦通算1000勝を達成した郷田真隆九段。初タイトルの王位獲得後に実現した女性タレントとの対談や、名人獲得まであと1勝と迫った名人戦、40年以上に及ぶプロレス観戦歴や「最後の大物独身棋士」と呼ばれた中で45歳の結婚など、「羽生世代」を代表する名棋士の将棋人生について田丸昇九段が記す。【全2回の2回目/棋士の肩書はいずれも当時。初出以外は省略】
西田ひかるとの対談が実現して…
私こと田丸は将棋連盟理事だった1992年12月、郷田王位がかねてからファンだというタレントの西田ひかる(当時20)との対談を『将棋世界』誌で企画した。郷田は将棋会館を初めて訪れた西田を対局室に案内し、駒の動かし方を教えた。当時の2人の会話を少し紹介する。
郷田「先ほど対局を見てもらいました。いかがでしたか」
西田「真剣な雰囲気はいいですね」
郷田「ゲーム類は好きですか」
西田「好きですが、早とちりで後で後悔しちゃう。将棋をやると、落ち着くようになっていいかもしれません」
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郷田「片岡鶴太郎さんが司会するバラエティー番組で、ひかるさんを見てファンになりました」
西田「あの頃は、髪がまだ短かったですね」
郷田「NHKの《西田ひかるの痛快人間伝》もよく見ました」
西田「あの番組は、とても勉強になりました。私は番組でも紹介した、黒人解放に立ち上がったキング牧師を尊敬しています」
郷田「芸能界に入って一番うれしかったのは何ですか」
西田「最近ではNHK紅白歌合戦に選ばれたことです」
郷田「私はタイトルを初めて獲ったときです」
西田「郷田さんのことは、この対談の前に新聞や雑誌の記事で知っていました。これからも活躍を期待しています」
郷田「将棋会館は事務所と近いそうなので、また遊びに来てください」
21歳の郷田と20歳の西田の対談は、実にフレッシュだった。
端整な顔立ち…メガネでタレント性を拒否した面も
端整な顔立ちの郷田は街を歩いていると女性からよく声をかけられ、女流棋士の間ではファンクラブができたという。

