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「“韓国への劣等感”は皆無だ」E-1優勝…日本代表元監督トルシエがズバリ「リュウノスケはクボに似てるが」“お気に入り18歳MF”を絶賛
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2025/07/23 17:20
E-1優勝メンバーの一員となった佐藤龍之介。18歳の新鋭をトルシエは高く評価している
「まず選手たちがより大きく、より力強くなった。また練習方法も改善され、より効率的になったのだろう。空中戦でも韓国と競り合える。守備的な日本を見るのもとても興味深い。人々が常に期待するのは攻撃的な日本代表だが、この試合で目にしたのは守っても十分にプレーができる日本だった。それは良かった点だ。
では、このメンバーからW杯の代表に入る可能性がある選手がいるかといえば、この試合から名前を挙げるのは難しい。ジャーメインはそれなりのプレーをしてゴールを決めたが……」
彼らは韓国に対してコンプレックスを抱いてはなかった
――効果的であることを示しました。
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「唯一のチャンスを得点に結びつけて存在感を示した。しかしプレーに関しては、見るべきものはなかった。それは日本のプレーシステムが、彼にいいボールを供給できる態勢ではなかったからだ。
ただ、だからこそ彼はすべての試合でプレーしたといえる。というのは守備でも彼は、高い運動能力で貢献できるからだ。韓国戦も85分までピッチに立ち続けた。代わって投入されたのが、やはりフィジカルの強い原大智だった。
つまり森保は、フィジカルな戦いに勝つという目標達成に向けて、徹底的に効率的だったわけだ。日本の勝利は、守ることによって得られたものであることを、改めて認識する必要がある」
――森保がベテランと屈強なフィジカルの選手を招集したのは、そうした具体的な狙いがあったからなのですね。
「その通りで、韓国戦がフィジカルな戦いになることを彼は承知していた。そのことを予見した彼は、大会に勝つためには重さがあって屈強な選手、経験豊富でサッカーを知り尽くした選手が必要なこと、若くて軽い選手たちでは勝てないことをよくわかっていた。
選手は森保の要求によく応えた。彼らは韓国に対してコンプレックスを抱いてはいなかった。日本は身体能力において屈強で、韓国は牙を折られてしまった」
日本のゴールは幸運に恵まれたものだったが
――特に後半はそんな戦いでした。しかし韓国の洪明甫監督も、最終盤こそ空中戦を仕掛けてきましたが、それまでのプレースタイルは日本と似通ってはいませんでしたか?
「たしかに後半はそうだった。特にゴール前40mのところで、技術的にとても優れていた。韓国のプレーは興味深く、アタッキングサードにおけるゲームコントロールに関して、日本よりも優れていたのは間違いない」
――その点に関して韓国は、大会を通じて進化していきました。

