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「ジャーメイン抜きの優勝はあり得なかったが」“遅咲き30歳FW”はW杯に行けるか…トルシエがE-1をズバリ総括「中国にはない日本の保証だ」
posted2025/07/23 17:22
E-1得点王とMVPに輝いたジャーメイン良。30歳にして日本代表で結果を残したストライカーに次のチャンスは来るか
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田村修一Shuichi Tamura
photograph by
VCG/Getty Images
フィリップ・トルシエが語る東アジアE-1サッカー選手権、日本対韓国の最終回である。
この大会のために選ばれた国内組による日本代表。その中でトルシエの注目を集め、W杯を目指す代表グループ入りを感じさせたのが、18歳の佐藤龍之介であり右アウトサイドで存在感を示した望月ヘンリー海輝だった。
そしてもうひとり、日本の総得点9点のうち5点を決めたジャーメイン良も、「言及すべき選手であるのは間違いない」とトルシエは言う。
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とはいえすでに30歳のジャーメインに、W杯本大会に向けてのグループに残る可能性があるのだろうか。そして日本代表の、来年に迫ったW杯へのパースペクティブは。さらには東アジアのサッカーの現状を、トルシエはどう見ているのか……日本だけに限らない。アジア全体の現状に精通したトルシエの言葉には、耳を傾ける価値がある。
ジャーメインはサッカーに誠実かつ真摯だ
「ジャーメインが大会得点王なのだろう」
――得点王と最優秀選手賞のふたつを獲得しました。
「彼ならW杯のグループに入ってもおかしくはない。ピッチの上の彼しか知らないとはいえ、その態度から人間としての成熟が感じられる。サッカーに対しても誠実かつ真摯に取り組んでいるのが窺える。加えてプレーのクオリティがある。とても興味深い選手だ。
30歳だが年齢なりの経験を積んでいる。彼にとって素晴らしい大会だったのは間違いなく、ゴールを決めて森保の期待にも十分に応えた。得点チャンスを作れなかったチームで、彼のシュートがチームを勝利に導いた。逆に言えば、攻撃の構築が出来ていれば、チームはさらにずっと効率的だったといえる」
――現実的な問題として、ジャーメインがいなかったら日本の優勝はありえなかったです。
「まったくその通りで、彼抜きの優勝はありえなかった。この日本代表は、ゴールチャンスを作ることなく得点を決めた。彼が決めたゴールのほぼすべてが、本来の意味での得点機ではなかったが、それでも初戦の香港戦は幾つかのチャンスがあった。そこでジャーメインは、自分のプレーの正確性を示した。昨日の韓国戦のゴールも、彼の技術の高さが最大限に発揮された得点だった。日本がボールを支配する状況で、彼をもう一度見る必要があるだろう」
モリヤスはすでに頭の中にチームを構築している
――日本の3試合を通していえるのは、どの試合も前半のパフォーマンスが後半を上回っていたことでした。

