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「W杯ではどのグループに入るのがベスト?」対戦相手・気候・移動…日本代表で山本昌邦氏が進める「2026年7月19日の決勝から逆算」した準備とは? 

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佐藤景

佐藤景Kei Sato

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/07/23 17:56

「W杯ではどのグループに入るのがベスト?」対戦相手・気候・移動…日本代表で山本昌邦氏が進める「2026年7月19日の決勝から逆算」した準備とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、日本代表が優勝するために決勝戦までの道のりを逆算してあらゆる準備を進めていくという

W杯は国の文化や歴史を注ぎ込む総力戦

「ワールドカップは、本当に総力戦です。サッカー界の経験はもちろん、大げさに言えば、国の文化や歴史、さまざまな知見をどれだけ注ぎ込めるかにかかっている。先人たちが築いてきたものをしっかり受け止め、生かさないといけません。

 加えてわれわれの力だけではなく、サポーターのみなさんの力も、メディアのみなさんの力も必要になる。カタール大会ではイングランドやフランスのメディアセンターに行きましたが、また行きたくなるような設備があって、とにかくホスピタリティが素晴らしかった。海外のメディアも日本を応援したくなるような準備をすることが必要だと感じました。歴史のある国、それこそ優勝を狙うような伝統国は決勝まで見据えて、そういう部分にも気を配っているのだと思います。

 長丁場の大会を取材していれば、当然メディアのみなさんも人間ですから疲弊していきますよね。われわれが勝ち上がっていくのは当然なのですが、それを皆さんにどんどん発信してもらって日本全体が熱を帯びるようになってほしい。そのためには色々な仕掛けが必要なんだと感じています。長期取材では洗濯も大変でしょうから例えば着替え用のTシャツを配るとか。皆さんに着てもらって一緒に戦うことにもなりますから(笑)」 

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 準備をし尽くしたと思っても予期せぬことが起こるのがワールドカップだ。カタール大会ではポット3だった日本がポット1のスペインとポット2のドイツを破り、グループを1位で突破した。大国に勝利を収めたのは、劣勢の中、後半から3−4−2−1を採用し、マンツーマンでボール狩りを仕掛ける奇策が成功したからだった。日本は大舞台でそれまで見せたことのない方法を用いて勝利をつかんだ。

 しかし、森保一監督がのちに「クロアチアは日本対策を立てていた」と振り返ったように、決勝トーナメントの戦いではそうはいかなかった。勝ち上がるチームには、大会中に起こる変化に対応する力があるということだろう。予想外の事態は起こるもの、と「準備」しておくことが必要というわけだ。 

「30年前はワールドカップに出場することが夢でした。しかし8大会連続8度目の出場を決め、われわれは本気で優勝を目指しています。監督は2度目のW杯で、選手としてW杯を経験したコーチもいる。そうした経験と先人の皆さんが築いてきたものを凝縮して、日本のみなさんの力も集結して戦って、初めて新たな歴史を作ることができるのだと思います。

 北中米大会を後々、振り返ったときに、あのときからアジアの時代が始まった、日本がW杯で優勝して世界が変わったと言われるようにしたいと思っています」

「2026年7月19日、ニューヨークで行われる決勝から逆算して、われわれは進んでいます」と山本NDは言い切った。

 1年後、歴史を変える当事者になるために。勝負はすでに始まっている。

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「代表海外組の帰国はチャーター便で」「日本でも欧州時間で活動」W杯最終予選最速突破への“徹底準備”の内実をバックアップ責任者に聞く!
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