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「俺らもおじさんになったけど」男子バレー“BBQ決起集会”でポツリ…“今年30歳”石川祐希、小野寺太志、大宅真樹が思い出す12年前の夏「ある事件が…」
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田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2025/07/20 06:01
今年30歳となる石川祐希、大宅真樹、小野寺太志。ユース時代から知る同学年の3人が“12年前の夏”を振り返った
12年後、30歳になった大宅は交代を命じられても、腐らず前を向けている。本気で目指したパリ五輪は落選したが、国際大会でようやく出場機会が巡ってきたチャンス。これまでの歩みや経験があるから、と力強く言葉にした。
「日本代表に関してはいろんな挫折があったし、正直言えば、まだいい思いをしたことがない。でも今、こうしてA代表でプレーできているし、バレーボール人生は終わらない。30歳になってからそう考えられるようになったのは遅いのかもしれないですけど、最後まで諦めたくない。どんな形でも、チャンスがくればものにする気持ちで準備したいです」
経験と年齢を重ね、かつての仲間とまた同じ場所で、しかも日本代表という立場でプレーする。石川は「ユース代表のメンバーだからと感傷的な気持ちになることはない」と苦笑いを浮かべるものの、素直な喜びを口にした。
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「小野寺選手とはずっと(日本代表で)一緒にプレーしていますけど、大宅選手とはプレーしたり、しなかったりという時が続いて、でも今シーズンはまた一緒にできる。僕個人として彼(大宅)とプレーできるのは非常に楽しいです。やっぱり、同い年なので」
「俺らも大人になったなぁ」
勝負の世界では昔話に浸る暇も余裕もない。それでも、ふとした時に重ねた時間の長さを感じる瞬間もあった。
ネーションズリーグ千葉大会直前に実施された沖縄合宿での出来事だ。合宿最終日の夜、間もなく始まる大会に向け、心身を癒して英気を養う決起集会が行われた。選手もスタッフも全員そろったバーベキュー。すっかり年長者になった彼らのもとには、若手選手たちが肉や飲み物を運んでくる。
小野寺は喉を潤しながら「もう30歳になるのか、と感じた」と笑う。
「自分たちは出会った頃から変わらないですけど、みんな所属チームでキャプテンを経験したり、今は祐希が代表のキャプテンだったり、立場は少しずつ変わっている。バーベキューも前は僕らが持っていく側だったのに、『俺らも大人になったなぁ』って(笑)。おじさんになったけど、またユースのメンバーとこうして一緒にできるのは楽しい。まだまだ、頑張っていかなきゃですよ」
東京五輪を目指した10代の選手たちが、30代に差し掛かる今、ロサンゼルス五輪という新たな目標に進んでいる。胸躍る、熱い物語がこれからも紡がれていくはずだ。


